Meta(旧Facebook)は、その新しい社名の由来ともなっている「メタバース」を軸にした事業戦略を発表した。以前から噂されていた次世代VR/MRヘッドセット「Meta Quest Pro」を発表するとともに、アクセンチュアが「Quest 2」に続きQuest Proを従業員向けに大量導入すると話し、マイクロソフトとも広範な協業についても発表した。
Metaの提供する仮想会議室「Horizon Workroom」や、ユーザー個々にカスタマイズが可能な自身の仮想空間からTeams会議に参加したり、マイクロソフトOfficeを利用可能になるなど、企業向け用途拡張が目立つ。
こうした企業向けの提案や開発環境の強化などが多く発表されている背景には、22万6800円(米国は1499ドル)というプライスタグがQuest Proにぶら下がっていることも理由だろう。
この最新ヘッドセットは薄型パンケーキレンズを採用し、ストラップ後部にバッテリをカウンターウェイト兼用で配置するなど、装着性を大幅に向上させているほか、内蔵プロセッサの処理能力で1.5倍、採用するディスプレイの画素数を37%向上させたている。さらに、色再現域やコントラストも改善している。
Quest Proは、高精細なカラー化された3Dパススルー映像を用い、現実の景色とVR世界を融合させたアプリケーション環境も整えている。数年後には本格的なARの応用へと繋げるためのベースラインをセットしたQuest Proは、同部門が目指す世界へと向かう最初のマイルストーンとも言うべきデバイスだ。
しかし、MetaのVR部門であるReality Labsが目指している世界はずっと先にある。このイベントで発表されたさまざまな技術やデモ、それにQuest Proの先に広がるのは、レンタルオフィスや会議室、個人の書斎をネット空間に創出する事業であり、そこで活動する人たちへのファッションなど自己表現の手法、あるいはツールを介しての”共創環境”を生み出すことだ。
Metaの目論見がうまく進むのであれば、現実のオフィスや家庭とメタバースが境目なく融合し、まるで同じオフィスにいるように共同作業が行えるようになるだろう。もちろん現在ではなく未来のことだが、理想的なメタバース環境を実現するまでの段階的な投資で、Metaはこのジャンルで揺るぎない事業基盤を獲得するかもしれない。
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