ただ、技術的な背景が脆弱な中では、こうしたシナリオは笑い話にしかならない。そこに社運を賭けるような動きは滑稽に見えることもあるだろう。
Metaの提供するアバター技術とワークスペースツールをもとに、三次元CADの立体映像をチームのメンバーと仮想的なデスクを囲み、デザイン造形について検討したり、細かな修正を行うといったことは、まだ想像の範疇かもしれない。
しかし、Quest Proの仮想デスクトップでマイクロソフトのOfficeを使い、テーブル上のキーボードとマウスでマルチディスプレイの環境を構築して仕事をと言われると「本当にそれがしたいの?」と疑問に思う人もいることだろう。
しかし新型コロナウィルスのパンデミックによって、ネットを通じた仮想的なコミュニティの形成やワークスタイルを経験した我々は、エンデミックによってリモートと現実、二つのワークスタイルを組み合わせたハイブリッドワークへと向かっている。
VRヘッドセットも、ほんの少し前まではとても長時間装着できない不快なデバイスだったが、それも大幅に緩和されてきている。本格的なAR時代への入り口が数年後とするなら、その頃には大きく常識が変化しているだろう。
そんな未来に誰が投資をするのか?
例えば昨年取材したある大手監査法人は、自社グループで抱える先端技術開発部門でアバターに大きな開発投資をしていた。加えて話し方や表情、仕草をキャプチャし、将来はコンサルタントが顧客とコミュニケーションする際にアバターを通じて対応するという技術が現実のものとなろうとしていた。
定型的業務から従業員を解放し、より知的な仕事へと時間を使えるようにするためだが、その先に見据えられていたのは”オフィス”の見直し。エンデミックを迎えてもオフィス環境、特に文書業務の環境がもとに戻ることはないだろう。
企業がオフィス環境への投資の一部をメタバースに向け始めると、世の中は大きく変化し始めるかもしれない。
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