NTTドコモは9月28日、10月1日から新会社「NTTコノキュー」の事業を開始すると発表した。顧客や営業基盤、技術力といったNTTグループの各種アセットを活用し、XR事業を推進する。
6月1日にドコモが100%子会社の「XR事業企画株式会社」として設立したコノキューでは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といったXRを活用し、メタバース、デジタルツイン、XRデバイスの3つの事業を個人と法人に向けて展開する。代表取締役社長はドコモの特別参与を務める丸山誠治氏。
NTTからの事業譲渡などで、「基本的にNTTグループの(XR関連の)商材はこの会社に集約」(丸山氏)しつつ、NTTやドコモの研究開発部門と連携。積極的な技術開発を進めるという。資産予定規模は600億円、人員はグループ各社から結集した200人で開始する。いずれも順次増やす方針だ。
コノキューの3つの事業の1つとなるメタバース事業では、マルチデバイス型メタバース「XR World」と、実際のライブハウス、YouTubeなどの2次元プラットフォーム配信、メタバース空間などの3次元プラットフォーム配信の3つへリアルタイムに同時配信できるライブ配信システム「Matrix Stream」、バーチャルシンガー「Tacitly(タシットリー)」などを展開するという。
新会社の事業開始に伴い実施された発表会では、XR World内のプロジェクトとして結成した国内初のリアル・バーチャル混合ユニット「AKB48 SURREAL(エーケービーフォーティエイト サーリアル)」が登場。XR Worldのテーマソングでもある「わがままメタバース」を初披露する一幕もあった。
デジタルツイン事業では、スマートフォンをかざすとその場所に合ったARコンテンツを表示できる「XR City」を中核に据える。パートナー企業と協業しながらエリアの拡大、ARコンテンツの追加などを実施する予定だ。
XRデバイス事業では、顧客の体験価値を最大化すべく、コンテンツやサービスをより魅力的にするXRデバイスを開発する。丸山氏は、さまざまなデバイスを検討している段階でまだ決まっていないとしながらも、「個人的には、軽量型のグラス型デバイスを造りたい」と語った。
法人向けには、「NTT XR」で得たノウハウやソリューションを結集し、あらゆるシーンで顧客業務の変革を目指すという。「第1弾としてオフィスや学校、自宅をつなぐ仮想空間オフィスの提供に向けた準備を進めている。 NTT XRをブランドの軸としながら、全国全ての法人の顧客をNTTグループが一体となって、ワンストップでサポートする」(丸山氏)
丸山氏は社名について、「あらゆる高度なネットワークを活用し、生活に自然に溶け込むXRの世界を探求するという“Quest Over Network”の頭文字に、Nを中心に左右対称とすることで仮想と現実の行き交いを表現。また、始まりを意味する“キュー”に、XRの新たな時代のスタートという意味を込めた」と由来を説明した。
具体的な数値目標への言及は避けつつも丸山氏は、「世界中でさまざまなプレイヤーがXR事業に参入しているが、『XRといえばNTTコノキュー』と言われるような会社にしたい」と語った。
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