NEC×アシックス、ウォーキングシューズ「KNEESUP」で健康管理の実証実験

 日本電気(NEC)は9月13日、歩行センシングインソール「A-RROWG」と、アシックス商事のウォーキングシューズ「KNEESUP」を活用した健康管理・促進に関する実証実験を実施したと発表した。

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 A-RROWGは、小型の歩行分析センサーを搭載した専用インソールを靴に入れるだけで自然に「歩容(≒歩行の質)」を計測し、専用アプリから歩行状態のチェックや歩行改善アドバイス、トレーニングメニューの確認が可能なサービス。

 KNEESUPは、ひざ関節のバランスをとり、負担を軽減する機能構造を有したウォーキングシューズ。靴底のかかと部内側に熱可塑性合成樹脂プレート「MCCS」(Medial Cushion Control System)搭載しているのが特徴だ。

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 MCCSは、荷重によってプレートがたわむ独自の空洞構造体で、着地時にひざ関節を外側から内側へと誘導する仕組みを採用。高いクッション性を持ちながら、進行方向へ足が自然と前にでるような快適な歩行のサポートを行う。

 アシックス商事によると、2018年9月に発売して以来、累計11万足を出荷するなど主力商品として売上を伸ばしているという。

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 今回の実験では、A-RROWGを搭載したKNEESUPを着用し、歩容と運動パフォーマンスの変化について検証した。期間は、2022年4月1日から5月23日まで。

 男性4名、女性4名の計8名(平均年齢65.6歳)を対象に、計測会を実施した後、自宅で普段通りの生活をしながら、ユーザーがアプリ上で指定した5つの時間帯のうち最大1日3回、自動計測された歩行パラメータをもとに解析を実施した。

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 それによると、KNEESUPの即時的な効果として、履いて歩くことによる「歩行速度」「歩幅」「つま先の向き」の数値改善がみられたという。

 また、KNEESUPのような機能性シューズを履いていても、日常生活における運動パフォーマンスは、習慣的に履く前の状態に戻る傾向があることが示唆されている。

 実証実験後に官能評価を実施したところ、計測された歩行パラメータとは対照的に、歩行能力は向上したと自覚している人が多い傾向となった。

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 両社では、一般的なシューズと比較して、KNEESUPの使用により歩幅をしっかりとりながら速くまっすぐ歩く、といった即時的な有効性を改めて実証できたとしている。

 また、感覚的には歩行能力が上がり、姿勢も改善されているといった感想が多く得られたという。

 ただし、歩行速度や歩幅の数値は、計測当日よりも履き続けた後のほうが低下しているといった結果がでている。この結果については、「運動学習による改善動作の定着が不十分」であったと推察。

 長い期間を経て形成された歩行のクセを自力で修正するには、シューズの機能に加え、モチベーションを保ちながら改善に向けた取り組みを継続的に行っていくことが重要であるとしている。

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 また、これらの結果を踏まえ、アシックス商事では、機能性シューズの開発や効果の実証実験を引き続き行うほか、健康予防セミナーや足形計測、歩行年齢測定などの計測イベントを実施するなど、身体も心も満たされた、健康的で快適な生活が送れるようにサポートしていくという。

 同社では、ヘルスケア・ライフサイエンス領域において、生活者のひとりひとりに寄り沿ったサービス・製品の開発を推進。今回の実証実験の成果を踏まえ、A-RROWGのアプリケーションやアルゴリズムの強化を継続的に図ることで、生活者に対して健康な歩行姿勢を維持するための習慣的な運動をサポートしていく。

 なお、同社は、A-RROWGの機能強化を2022年6月に実施。従来から計測している歩幅、歩行速度、接地角度、離地角度、外回し距離、足上げ高さ、つま先の向きに加え、フレイルレベル、CPEI(Center of Pressure Exclusion Index:足圧中心移動指数)など、17の計測項目を新たに追加した。

 計測項目の追加により、例えば、フレイルレベルでは加齢に伴う運動能力の低下具合、CPEIではX脚・O脚傾向を推測することが可能。同社は、A-RROWGの提供を通じて、従来の「品格ある歩き方」の支援から、より進んだヘルスケアサービスの提供を目指すという。

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