東急が運営する定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi」は8月24日、観光地域づくり法人、Peach Aviation(Peach)、日本経済新聞社(日経)との連携を発表した。全国を回遊する仕組みを整え、関係人口の創出と地方創生を目指す。提携開始は10月から。宿泊対象施設を全国39都道府県179施設へ拡大するほか、期間内で宿泊日を“えらべる”プランも新設する。
TsugiTsugiは、「『ただいま』と帰る場所をツギツギと巡る、旅するような暮らし方」をコンセプトに、2021年4月にサービスをスタート。東急 ホスピタリティ事業部事業戦略グループ事業統括担当課長補佐の川元一峰氏は「2021年4月に先行体験を開始し、その後11月に第2弾、2022年3月に新募集をしてきた。コロナの流行期だったにもかかわらず多くのお客様からお申し込みをいただき、サービスを提供できた。お客様の属性は、年齢層が幅広く、一定の年代に向けて作っているようなサービスではない。男女比は7対3と男性の名義でお申し込みいいただくことが多く、同伴者1名無料になっているので、実際は半々程度。既婚者の利用が目立つほか、働きながら旅している人が多い」と利用者の傾向を分析する。
一方で、「短期間で使ってみたい、平日だけでもいいから低価格で利用したいなど、ライトな利用のニーズが多かった」(川元氏)という声が上がったとのこと。それを受け、TsugiTsugiでは、「えらべる5」(5泊/30日間)、「えらべる14」(14泊/30日間)、「まいにち30」(30連泊)の3つの新プランを用意。「13連泊と30連泊プランを用意していたが、13連泊の支持が高かった。これは30連泊だとスケジュールの調整が大変だったり、自宅をそこまであけておくのは不安だったり、という理由から。このように見えてきたニーズから、新プランを用意した」(川元氏)とユーザーの声をいかす。
あわせて「滞在先では温泉やホテルなど、宿泊施設の魅力が必要。加えて、街歩きなど地域ならではの楽しみ方をしたいという声が多かった。働きながら移動する人も多いので、ワークスペースも拡充しなければいけない。なにより、ホテルなど滞在先にいくことを目的にしている人も多いので、施設の充実が非常に大事」(川元氏)と数々の気づきを得たという。
今回、公益財団法人するが企画観光局や一般社団法人気仙沼地域戦略と連携し、地域ならではの魅力あるコンテンツの提供を目指すほか、日経が運営するシェアオフィスサービス「OFFICE PASS」 が使える「OFFICE PASS付き」プランも用意。全国450店舗以上のワークスペースが使えるという。
一般社団法人 気仙沼地域戦略事務局地域おこし協力隊の高(漢字ははしご高)橋和輝氏は「気仙沼は交通のハードルが高い場所。首都圏を中心に遠方のお客様の誘客につながればと思っている」とコメント。公益財団法人 するが企画観光局事業推進本部長CMOの岩崎昌登氏も「静岡は横に長く、新幹線の『のぞみ』に乗れば通過してしまう。観光のイメージがわかないために降りてもらえないという課題を抱えている。TsugiTsugiのユーザーが泊まれる宿泊施設を用意し、この機会に立ち寄ってみようかと思ってもらいたい」と誘客に期待を寄せる。
オフィススペースを提供する、日本経済新聞社 ライフ&キャリアビジネスIDビジネスユニットIDパートナー事業グループの小島圭司氏は「OFFICE PASSの特徴は450箇所以上の場所が使え、かつ空席がリアルタイムで把握できること。私たちは現在、法人企業の課題解決の声に応えているが、TsugiTsugiの会員の方にワークスペースを提供することで新たな働き方が見えてくることを期待している」とした。
また、Peachとはえらべる14プランの特典として5000円分のピーチポイントを付与。「TsugiTsugiの課題感として移動費用の負担を減らし、とどまるのではなく複数箇所を回遊してほしいと考えた。低運賃かつ国内で複数路線のネットワークを持つ私たちが役立てるのであれば、ぜひ一緒に仕事したいとお話した。移動のハードルが下がれば、旅するように暮らすというコンセプトを体現する人が増え、地域に人が移動するようになる。これがコロナで弱った地域経済の活性化につながればと期待している」(Peach Aviation 新規事業推進室ビジネスディベロップメント部の樋下芙美氏)と移動費負担の軽減を目指す。
TsugiTsugiでは、すでにANAと連携し利用者に「ANA SKY コイン」を付与する取り組みをしている。「この施策は予想以上にお客様に喜んでいただき、移動回数も伸びた。とはいえ、長距離移動にはお金がかかるため、LCCという選択肢もあるのではないかと。深夜便や早朝便などもニーズがあると思っており、使っていただければと思っている」(川元氏)とのこと。引き続き、ユーザーの声に耳を傾けながら、TsugiTsugiというライフスタイルの定着を目指す。
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