パイオニアは9月5日、クラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」のオプションサービスとして、アルコール検知器連携機能「スリーゼロ for ビークルアシスト」の提供を開始すると発表した。ビークルアシストと連携し、車両管理担当者の業務負荷軽減を目指す。提供開始は9月28日を予定。月額利用料は1ドライバーIDあたり600円になる。
同日には、アルコール検知器の開発、販売などを担う中央自動車工業、スリーゼロを提供するAIoTクラウドを迎え、説明会を開催。ビークルアシストの概要やアルコールチェックに対応した新機能などについて説明した。
スリーゼロ for ビークルアシストは、4月に施行された「白ナンバー車両を使用する事業者の酒気帯び有無の確認及び記録保存の義務化」や、今後施行される予定の「アルコール検知器による酒気帯び確認の義務化」に伴い、社用車を使用する企業、車両管理担当者の業務負荷増を軽減するために提供するもの。AIoTクラウドが提供するアルコールチェック管理サービスであるスリーゼロとビークルアシストを連携することで、車両管理データなどと一元管理ができ、車両管理業務全般の負荷軽減につなげる。
スリーゼロ for ビークルアシストをインストールしたスマートフォンで検知器の検査結果を撮影し、送信できるほか、Bluetoothで検知結果を受信し、送信できるなど、検査結果報告の手間を軽減できることが特長で、送信検査結果は、ビークルアシストへ自動的に反映、登録されるため、記録の手間も省ける。
10月からの施行が予定されていた、アルコール検知器による酒気帯び確認の義務化は、アルコール検知器の不足により、開始が延期される方向。これは半導体不足を受け、生産が間に合わない状態であるためという。アルコール検知器は、大きく分けて据え置き型と携行型の2つが存在するが、中でも携行型が不足しているとのこと。
アルコール検知器の開発、製造、販売を担う中央自動車工業 営業開発部営業推進グループの三井剛正氏は「携行型は持ち運べ、直行直帰やテレワークなどでも使えるため、現在高いニーズがある。白ナンバーまでアルコール検知器による酒気帯び確認が義務化されると、市場が大きくなるため、供給は大変になるだろうと思った」と現在の機器不足をこう分析する。中央自動車工業では、製造ラインを増やすなど増産体制を組んでおり、部品供給に対しても「いろいろなルートがあるので、できる限り調達していく」(三井氏)と現状を話した。
パイオニア 常務執行役員モビリティサービスカンパニーCEOの細井智氏は「ビークルアシストは、本格的な提供を始めて約3年が経過しており、採用企業数は1000社以上、1年間の総走行距離は約3億8000km、1年間の危険挙動検知回数は803万回と多くのデータが溜まっている。これにアルコール検知サービスをプラスすることで、企業内における安心安全業務に活用していきたい」とした。
AIoTクラウド 代表取締役社長の石黒豊氏は「スリーゼロはスマートフォンの画面に出てくる表示に応じて、自分がやるべき操作がわかり、誰でもかんたんに使えることが特長。検査結果と同時に検査時のドライバーの顔写真も送信するため、なりすましの防止効果もある。顔写真と同時にGPSで位置情報も取得できる」とメリットを話す。
白ナンバー車両を使用する事業者の酒気帯び有無の確認及び記録保存の義務化とアルコール検知器による酒気帯び確認の義務化は、2021年6月に千葉県八街市で起きた事故を受け、施行されたもの。一方で、企業における安全運転管理者の業務は、運転者の適性等の把握から、運行計画の作成、点呼と日常点検などすでに多岐に渡っており、これにアルコール検知器による酒気帯び確認が加わることになる。
「安全運転管理者にはいろいろな業務が義務付けられており、仕事内容は相当多忙で煩雑。これは現場の問題になっている。スリーゼロ for ビークルアシストにより、この課題を解決していきたい」(細井氏)とした。
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