テスラ、AIトレーニングシステム「Dojo」を披露--完全自動運転の実現を高速化へ - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年08月31日 07時30分

Dojoの内部

 そうした高速化を達成するために、Teslaはまず自社のニーズに合わせてD1チップを設計することから始めた。主なニーズは、自動車の変化する環境を追跡する動画データの処理だった。その4次元空間(線、面、立体と時間)を処理するのは、動画の1フレームを見ることよりもはるかに困難だ。

 次に、D1チップは25個を1グループとして連結され、正方形の「トレーニングタイル」を構築する。このタイルはディナープレートとほぼ同じ幅で、隣接するタイルと連携してグリッドを形成する。データは、地方の急行列車のようなネットワークを使用して、街区やより長い距離を走行する自動車のように、タイルからタイルへと移動する。

Dojoのトレーニングタイル
AIトレーニングシステム、Dojoを構成する基本の単位はD1チップだ。これらを25個を連結したパッケージの名称はトレーニングタイルとなっている。
提供:Tesla

 この手のものを構築するのに役立つ業界標準はたくさんあるが、Teslaは、D1チップに指令を出す命令セットからネットワークテクノロジー、主役のAIソフトウェアフレームワークに至るまで、あらゆるものをカスタマイズしている。

 TeslaはAIトレーニングをNVIDIAのプロセッサーからDojoに移行させて作業を高速化する計画だと述べたが、その移行作業がどれだけ進んでいるのかは不明である。ハードウェアエンジニアのEmil Talpes氏はHot Chipsの講演で、「しばらく前からDojoを使用しており、現在はラボで動かしている」と述べた。

 Teslaは9月30日に開催するイベントTesla AI Dayで、Dojoの速度について詳細に説明する予定だ。最終的に、研究者はDojoを自分で試す機会を得られるかもしれない。Venkataramanan氏は、「Elonは、やがてこのテクノロジーを研究者に公開する予定だと発表したが、具体的なスケジュールは未定だ」と述べている。

Teslaの垂直統合

 従来の自動車メーカーは、シートからインフォテインメントシステムといったあらゆるパーツについて、サプライヤーの広大なネットワークを利用して提供している。しかしDojoは、Teslaがテクノロジーを自社で構築するのを好んでいることを示すものだ。このアプローチは、垂直統合と呼ばれ、製造やソフトウェア、販売、サービス、さらにはTesla車の所有者が自分の自動車を充電できる「スーパーチャージャー」ネットワークにまで及んでいる。

 テクノロジー業界では、垂直統合が増加している。これにより、企業は自社の製品やサービスをより厳密に管理できるため、それらすべてを円滑に連携させ、顧客に提供することが可能だ。これは、企業がサプライヤーなどのビジネスパートナーと利益を分け合う必要がないことも意味する。

 垂直統合は、Appleにも利益をもたらしている。同社は、「iPhone」や「Mac」のチップを自社で設計して、自社製品向けの中核的なソフトウェアを開発し、それらのデバイスからアクセス可能な「iMessage」や「Apple TV+」などのサービスを提供している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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