2021年1月、Mark Gurman氏は、Appleが「折りたたみ画面を採用するiPhoneについて、開発の早期段階が始まった。同様のデバイスを展開しているサムスンと競合する可能性がある」とBloombergに寄稿した。
また2021年5月には、アナリストのMing-Chi Kuo氏の談としてMacRumorsがこう報じている。「Appleは8インチQHD+解像度のフレキシブルOLEDディスプレイを採用した折りたたみ式iPhoneを2023年に発表する可能性が高い」。同氏は、2022年4月のツイートでこの予想を訂正し、Appleから折りたたみ画面のデバイスが登場するのは2025年になるかもしれないとしている。もっとも、Kuo氏のこのツイートは4月1日付だったため、エイプリルフールのジョークだった可能性も否定はできない。
Gurman氏もKuo氏も、Appleのうわさについては定評のある人物だ。したがって、これらの報道が正しいとすれば、折りたたみ式iPhoneは2025年に登場することになる。iPad miniくらいのサイズになり、半分に折りたためる。分かっているのはここまでだ。だが、ちょっと待ってほしい。
折りたたみ式iPhoneを作るとしたら、どのように生産するのか、Appleはその方法を理解しなければならない。市場調査会社のOmdiaによると、2021年の折りたたみ式スマートフォンの出荷台数は1150万台だったという。一方、Appleが年間に販売しているiPhoneの数は億単位に達する。したがって、Appleが折りたたみ式iPhoneを製造するとしたら、同じ品質を保ちつつ、需要を満たせるだけの数量で生産できる体制を確保する必要があるということだ。Appleがハードウェアを大幅に変更するときには(例えば2014年の「iPhone 6 Plus」で画面を大型化したときのように)、発売当初に売り切れが続出して新モデルの入手が困難になることがある。また、「iPhone 12 mini」と「iPhone 12 Pro Max」のときのように、発売日が延期されることもあった。
一方、物理的な複雑さも考慮する必要がある。折りたたみ式スマートフォンには、機械的な部品がいくつもあり、それが動作不良を起こしたり、摩耗したりする。埃の侵入を防ぐヒンジ部品もそうだし、折りたたみ画面の裏に重なっている多層構造もそうだ。実際、ジャーナリストたちが初代「Galaxy Fold」のレビュー機をテストしたときには、ヒンジとディスプレイの不具合が問題化した。もちろん、それから何年も経っており、その間にサムスンはこの問題を解決してはいる。だが、第1世代の製品には、こういうことが起こりうるものなのだ。
折りたたみ式iPhoneが実際に開発中だとしたら、Appleは設計面を刷新して、必要な部品とメカニズムを最小限に抑えるだろう。そうすれば、何かの破損が原因でスマートフォン本体に不具合が発生する可能性は低くなるからだ。この方面について、Appleには確かな実績がある。
「iPhone 7」をリリースしたとき、Appleはホームボタンを廃止して仮想のホームボタンを採用した。破損の原因になりうる機械的な部品を1つなくしたのである。また、「MacBook」をお持ちなら、あるいは使ったことがあるなら、ヒンジの設計とその信頼性に関しては最高水準を達成していることをご存じだろう。Appleには「AppleCare+」というサービスもあり、それを支えるグローバルなインフラストラクチャも整備されているので、折りたたみ式iPhoneを販売した場合には、不具合や意図しない損傷の不安を和らげてくれそうだ。
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