暑くてやる気が出なくても、仕事に向かう道すがら、本を読むことならスマホでできる。ならば、その時間を、少しでもスキルアップにつながることに使うのはどうだろう。前に進む道へ、たとえ一歩でも踏み出していければ、いつかは遠くまで辿り着く。そのような、「一歩を踏み出す力」になってくれる5冊を紹介する。
スキルアップを図ろうとするときに、まず頭に浮かぶのが「転職」かもしれない。だが,転職をせずとも、今の職場でキャリアを積むことを真剣に考えるのも大事だ。本書は、会社の経営戦略のように、個人のキャリアについて戦略的に考え、行動を起こしていこうと促す。そのために、実際に書き込んで考えることができるシートや、さまざまなトレーニング(ワーク)が盛り込まれており、取り組みがいがある。
コロナ禍において,会議のあり方が変わったり、家が職場になったりと、働く環境が強制的に変化させられる状況にあった。将来に対する不安の方が大きかったかもしれないが、そうした状況でも、試行錯誤や工夫を重ねて現在までやってこられている。その経験も、決して無駄にはならないはずだ。その延長線上に、個人のキャリア戦略も存在している。漠然とした不安を抱え、何か少しでも行動を起こしていきたい、前に進みたいと考えている人に、特にお勧めだ。
働き始めて随分経ってから、勉強は学生時代にすれば終わりというものではなかったことに気づく。「あの時もっと勉強しておけばよかった」と思っても、後悔先に立たず。しかし、いつになっても、何歳になっても、自ら勉強し始めるのに「遅い」ということはないのだ。
本書は、受験の大変さでは有名な韓国で、受験生に向けて書かれたモノだが、今からでも勉強したいという人や、今まさに勉強中であるという人たちの味方になってくれる。「勉強法」とタイトルにあるが、勉強の具体的なやり方が書かれているわけではなく、どのように考えると勉強が面白くなるのか、心の持ちようについて書かれている。スキルアップのための勉強に身が入らないようなときにも、効果的だろう。
スキルアップしたいことの一つとして、やはり英語力を挙げる人は多いだろう。本書では、特にスピーキングの力を付けるために、自ら実践しやすく続けられる方法を提案している。それは、「自分への取材」を通して、自分が普段やっていること、普段話したり書いたりしていることを存分に活かして、英語力に換えていくという方法だ。
自分に合った英語表現をどこで見つけるか、どのようにスピーキングの練習をするのかなどの具体的な方法も、もちろん書かれているが、まず、自身に直結した表現でなければ、心を動かされないし、その表現を自分のものにしようとは思えないという、根本的なところに気付かされる。TOEICなどの試験対策も大切だが、より実践で使える英語力を身に付けたいなら、本書をコーチとして独習を続けるという方法がある。
すでに行動も起こしているし、仕事も勉強も人付き合いもと、毎日やることがたくさんあって追いつかないほどだ、という人には、本書をお薦めする。やることが追いつかないという状態は、あまり望ましい状況ではなく、ある日突然、糸が切れた風船のように、心がどこかに行ってしまう危うい状態かもしれない。
本書は、「常に頭がいっぱい」の状態の原因を一緒に探り、「もっと、常に、全部」と追いかけてしまうことをやめ、「シンプルに」「がんばりすぎない」自分になれるように導いてくれる。いかに自分が毎日「ノイズ」に惑わされていることか、「思い込み」で考えて行動してしまっていることか。一度立ち止まることも、前に進むには大切なことのようだ。
最後に、スキルアップのコンテンツを提供する側の人に役立つ一冊を紹介する。集合研修が簡単に開催できない状況になってから、より一層、オンラインで学ぶ機会が求められるようになった。オンラインで学ぶと言っても、SkypeやZoomなどで、講師とリアルタイムでつながって学ぶ形式もあれば、事前に制作されたe-Learningの講座を利用する場合もある。本書は、e-Learningの講座を作成する人をサポートしてくれる。
昨今、e-Learningを作成するためのツールは増えているが、e-Learningの講座そのものの制作はそう簡単ではない。学習者が、習ったことを確実に習得できるようにするには、綿密な設計が必要だが、そのような技術に特化した本はまだ少ない。本書は、講座制作に必要なリサーチの方法から、絵コンテ作り、実際の制作手法まで、準備から制作に至る過程で必要なことが学べる。急にe-Learningの担当になってしまった人にも、救世主となるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス