バルミューダは、2022年度上期(2022年1~6月)業績を発表。売上高は前年同期比12.7%増の87億8400万円、営業利益が41.9%減の4億2100万円、経常利益は47.9%減の3億6900万円、当期純利益が47.7%減の2億3400万円となった。
バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏は、「売上高は、国内、海外ともに2021年の実績を上回った。2021年に発売した『BALMUDA The Brew』が日本および韓国で、『BALMUDA The Range』が韓国で好調であり、キッチン関連商品が牽引した。だが、円安やサプライチェーンの混乱などにより、商品原価率は上昇。部品需給および海上輸送のひっ迫の影響を受けている。その一方で、将来の成長へ向けた投資は継続しており、積極的な採用活動を行っている」と振り返った。
売上原価率は、前年同期の57.7%から65.0%へと、7.3ポイント上昇。営業利益率は9.3%から4.8%へと、4.5ポイント悪化した。
商品カテゴリー別売上高は、空調関連が前年同期比6.6%増の19億7200万円、キッチン関連が29.2%増の56億5700円、携帯端末関連が1億8300万円。その他が38.1%減の9億7100万円となった。
携帯端末関連の売上高は第1四半期には1億7700万円だったが、第2四半期はわずか600万円に留まっている。「携帯端末は下期にまとまった納入がある。年間10億8000万円の目標は変更しない。ネバーギブアップでがんばる」と意気込みをみせた。また、「その他分野での減少は、クリーナーの苦戦が響いている。挽回に向けてより小さくて、軽いモデルを投入している。これを伸ばす」と述べた。
なお、2022年4月から、家電商品の一斉値上げを行ったが、「さらなる値上げの計画はない」とした。
地域別売上高は、日本が4.9%増の57億3800万円、韓国は25.6%増の21億2100万円、北米が74.5%増の3億1200万円、その他が33.0%増の6億1200万円となった。
また、上期の販管費比率は、前年同期の33.0%から30.2%へと減少。第2四半期の販管費の内訳は、人件費は3億3900万円(前年同期は2億9300万円)、広告宣伝費は1億3900万円(同2億700万円)、試験研究費は1億円(同3億1600万円)となっている。
従業員数は前年同期の127人から163人に増加。そのうち、エンジニアは89人、デザイナー16人、その他が58人。「派遣社員やアルバイトを含めると約200人体制になっている」とし、「こうした状況下でも、人材に投資し、組織力の強化に取り組んでいる。2022年1月から組織力の強化を進めており、部門制度から本部制度へと移行し、権限や責任をより細かく設定した。重要な職責を担えるメンバーを積極的に採用しており、地力がついてきている。環境が悪いから小さくまとまるのでなく、組織と商品には選んだところに思い切り投資をして、よりよい商品を作り、よりよい組織を作り、のちの飛躍につなげたい」と述べた。
一方、2022年度第3四半期(2022年7~9月)以降の重点ポイントとして、「アプライアンス新商品の投入」、「海外販売強化に向けた取り組み」、「BALMUDA Technologiesカテゴリーへの挑戦」の3点をあげた。
「アプライアンス新商品の投入」では、「改めてキッチン家電を強化する。まずは国内市場で販売し、売上げを作っていく」と発言。キッチンカテゴリーの商品として、2022年度下期に2つの新商品、2023年度に1つの新商品を投入する計画を明らかにした。「現時点では詳細はいえないが、まもなく発表できる。クオリティを作り込んでおり、(新たなキッチン家電で作った食べ物は)すごいおいしい。とてもいい商品に仕上がっている。楽しみにして欲しい」と自信をみせた。
「海外販売強化に向けた取り組み」については、北米における営業活動の本格化をあげ、これまで不在だった北米への駐在人員の採用を行っているという。「北米市場では前年同期比で倍増近い成長を遂げている。市場参入時期がコロナ禍と重なり、すべてをリモートで開始した市場だが、ようやくネット上でのコミュニケーションが効いてきた。今後、キッチン商品を主体に、北米市場は伸ばしていく」と述べた。
「BALMUDA Technologiesカテゴリーへの挑戦」としては、BALMUDA Phoneの継続的な価値向上を進める。9月には、Android 12への更新を予定。下期中には、独自アプリケーションの大幅なアップデートを計画しているという。
2022年度(2022年1~12月)の業績見通しは据え置き、売上高は前年比0.2%増の184億1000万円、営業利益が47.3%減の8億円、経常利益が46.0%減の7億9000万円、当期純利益が45.8%減の5億5000万円としている。営業利益率は4.3%、売上原価率は62.6%を見込んでいる。
「バルミューダを取り巻く事業環境は良くない。原材料価格の高騰などによって、日常的に使用する商品の価格が上昇しているほか、家庭内で利用するものよりも外向きの商品への投資が増えており、家電などに回すお金が減っている」とする一方、「とくに、為替のインパクトが大きい。バルミューダの事業モデルそのものが、いまの為替レートにマッチできていない。多くの商品を海外で生産し、日本に輸入して販売をしており、2021年、2020年の為替レートによって、10%を超える利益を出せる事業モデルとなっている。いまは、輸入企業であることが最大の弱みになっている。少しでも早く輸出入のバランスが取れた状態を作っていくべきだと考えている。その点で北米市場への展開が輸入企業から、輸出入企業への転換において、ドライバーのひとつになってほしいと期待している。また、韓国に加えて、中国、香港、台湾でも販売しているが、今後は東南アジアにもチャンスがあると考えており、検討が始まっているところである。アジア地域でのブランド確立を進めたい」と述べた。
その一方で、「国内生産の計画はない。いまの為替レートを考えても、日本での生産はコストが高い。売価の設定と原価のバランスなどを考えると、国内生産は、小型白物家電を作るのには向いていない」と述べた。
今回の会見で寺尾社長は、「厳しい環境においては、足元の商品を固くし、輸出入のバランスを良くし、投資をして組織を強くするという取り組みを進める。バルミューダは、体験を提案してきた企業であり、体験の質が勝負どころになる。現在、16商品を展開しているが、伸ばせるジャンルはほかにもあり、同じジャンルのなかでもさらに体験価値をあげてお客様に選んでいただくことが可能である」としたほか、「いまは発明が必要である。バルミューダの扇風機は、自然界の風を吹かせたいという商品としての発明に、羽根を二重構造にするというテクノロジーの発明が重なって、まったく新しい高級扇風機のジャンルが生まれた。トースターは、すごくおいしいトーストを作る機械を目指すという発明があり、そこにスチームテクノロジーと完璧な温度制御というテクノロジーの発明が組み合わさって実現した商品である。アイデアと技術の双方で発明が起きたときにすごいことが起こる。毎回こうしたことを狙っているが、毎回ホームランは打てない。だが、いまこそ発明が必要である」とした。
ここでは、通常の扇風機が20~30Wで動作するのに対して、バルミューダの「The GreenFan」が、DCブラシレスモーターにより、最小で1.5Wで動作し、快適な風を送ることができる点を示しながら、「バルミューダの家電は、最小の電力で、最大の気持ちよさ、最高の効果を実現することから始まっている。空調のジャンルにおいて、そうした点から発明ができないかということで見直しを行い、研究や実験、測定をはじめている」とも述べた。
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