この10年、ボラティリティー(変動性)を除くと、仮想通貨の最もよく知られてきた側面は、その無法ぶりだろう。正体不明の仮想通貨ファウンダーが、新規仮想通貨公開(ICO)で多額の資金を懐に入れたのちに姿を消すことも何度かあった。また、ブロックチェーンによって実現した、往年の米国の西部を思わせる金融の無法地帯に、ハッカーや詐欺師が逃げ込んでくることもあった。
米国政府はこの状況を変えるべく取り組んでおり、それが裏付けられたのが米国時間7月26日に明らかになった2件の調査だ。まず、取引量では米国最大の仮想通貨取引所であるCoinbaseが米証券取引委員会(SEC)による調査を受けていると、Bloombergが報じた。Coinbaseでは150以上のトークンが取引されており、これらが証券として見なされれば、Coinbaseは取引所としてSECへの登録が必要となる可能性があるという。
仮想通貨が証券に分類されるとすれば、仮想通貨の開発やこうした通貨での取引をしたい企業はSECへの登録が必要になる。また、仮想通貨を用いた詐欺は一部が重罪とされるだろう。Bloombergの報道を受け、Coinbaseの株価は一時21%下落した。
そして次に政府当局の調査対象となったのが、評価額100億ドル(約1兆3500億円)の仮想通貨取引所、Krakenだ。The New York Timesの報道によると、制裁違反で米財務省の外国資産管理局(OFAC)の調査を受けているという。それによると、イラン在住の顧客に仮想通貨の売買を許していることが、米国による制裁に違反しているとされているようだ。財務省はこれに先立つ2021年10月、ビットコインやイーサのようなデジタル資産は、イランや北朝鮮などの国々(ここにはその後、ロシアが加わった)の制裁回避を容易にするおそれがあると警告していた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」