開発者向けに「Google Glass」を発売した2013年から約10年を経て、Googleが再びスマートグラスのパブリックテストを実施する。同社が5月の開発者会議「Google I/O 2022」で発表した独自のスマートグラス構想は、エンターテインメントというより支援を目的とするプロジェクトだった。Googleは米国時間7月19日、このスマートグラスのパブリックテストを開始すると発表した。まずは数十人がフィールドテストに参加し、2022年中に数百人まで増やすとしている。
Googleのスマートグラスは一種の拡張現実(AR)を実現するもので、音声アシスタント機能を搭載し、内蔵カメラからのデータを人工知能(AI)に送って周囲の物体を認識する。これは、画像認識技術「Googleレンズ」がスマートフォンのカメラを使って物体や文字を認識する仕組みと似ている。ただし、このスマートグラスは写真や動画を撮影できない。Googleはフィールドテストを行う製品でこれらの機能を制限し、AIをトレーニングして周囲の状況を認識する能力を向上させることに注力する。
このスマートグラスについては、Googleが動画と写真でごく一部を公開しているが、ほぼ普通のメガネのように見える。Meta Platformsが一般向けに発売したスマートグラス「Ray-Ban Stories」も外観は普通のサングラスで、主に写真を撮ったり音楽を聴いたりできるように設計されているが、Googleの試作品はスマートグラスの実用性と支援的な機能に重点が置かれている。現時点では具体的な初期テストケースの内容として、ヘッドアップディスプレイ(HUD)に対応した、翻訳、文字起こし、ビジュアル検索のほか、「Googleマップ」がスマートフォンで導入しているライブビューのようなナビゲーションが挙げられている。
テスト参加者は、「学校、政府の建物、医療施設、礼拝所、社会福祉施設、子ども向けの場所(学校や遊び場など)、緊急対応を行う場所、集会や抗議活動の場、その他類似の場所」での使用や、運転やスポーツをしながらの使用が禁じられる。Googleは、これらのスマートグラスを具体的に米国のどこでテストするか明らかにしていない。
Googleは、Google Glassを発売した10年近く前、すでに独自の大規模なスマートグラスのテストを実施している。当時は、このデバイスをきっかけに、ARヘッドセットやメガネに内蔵されたカメラの公共の場での使用とプライバシーについて、初期の論争が数多く巻き起こった。Googleの新たなプロジェクトは、現時点では当時よりはるかに小規模で、対象を絞って実施されることになりそうだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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