住宅をホテルとしても貸し出せる、新しい形の住まい「NOT A HOTEL」が、フランチャイズ展開を開始する。初の都市型ホテルとして、住むと泊まるの新たな形を打ち出す。
NOT A HOTELは、自宅や別荘として購入した住居を、旅行や出張など、家を空けるタイミングで、別の人にホテルとして貸し出せることが特徴。オンラインストアを中心に販売をしている。
フランチャイズ展開するのは、福岡県の「NOT A HOTEL FUKUOKA」。フランチャイズパートナーとして、小山薫堂が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズと福岡でホテル事業を展開するIMD Allianceの合弁会社Good Life & Travel Company(GLTC)を迎え、物件の土地取得や建設はGLTC、アプリの提供はNOT A HOTEL、ホテル運営はGLTCが担当する。
NOT A HOTEL FUKUOKAは福岡県福岡市中央区の薬院エリアに位置する。繁華街である天神に近い住宅街で、NOT A HOTEL 代表者の濵渦伸次氏は「住まいとホテルの中間のような、NOT A HOTELらしい場所だと思っている」と評する。
8室を用意し、いずれも100平方メートル以上の広い室内を確保。「サウナがついているほか、オフィススペースを設けるなど、部屋ごとにコンセプトは異なる。福岡で一部屋のスペースをこれほど確保できているホテルは少なく、そういった観点からか問い合わせは非常に多い」と人気を得ているという。
今回のプロジェクトはコロナ前に計画がスタート。元々は通常のホテルとして建設する予定だったが、コロナ禍を経て、NOT A HOTELの形へ変更になったという。「2020年のサービススタート時のリリースを見て、オレンジ・アンド・パートナーズの方からお声がけいただいたのがきっかけ。福岡はもともと中国からのインバウンド需要が高い場所。しかしワクチンや入国審査などの影響で、需要が戻るには時間がかかるだろうと見られており、コロナ前とは異なるニーズに対応するため、ホテルとして運営しながら投資回収するビジネスモデルになった」(濵渦氏)と経緯を話す。
購入税込金額は2280万円〜で、フラッグシップモデルと同様に1室単位だけでなく、年30日単位のシェア購入やNOT A HOTEL NASU、AOSHIMAに加え、今後開発されるNOT A HOTELとの相互利用も可能だ。
「東京をメインに据えつつ、実家が福岡にあるなど、2拠点生活を送る人がメインターゲット。清掃などの手間もなく、使わない時にはホテルとしても貸し出せる。ノーオペレーションで運営できるのは、今までにない魅力」(濵渦氏)と特徴を話す。
すでに販売を開始しているNOT A HOTEL NASUやAOSHIMAは広告などを出さず、口コミメインで販売しており、NOT A HOTEL FUKUOKAもそれに倣う方針。「NOT A HOTELの営業専任者は1人。それがいいのか悪いのかわからないが、対面だった重要事項説明がIT重説に変わったり、オンラインで内見できたりと不動産の購入スタイル自体が変わってきており、オンラインで物件を買う時代になった。そうした時代に合っているのではないかと思っている」と話す。
6月には、毎年1日単位で利用できる宿泊権と、イベント参加などの特典を合わせたメンバーシップのNFTの販売開始を発表。宿泊とNFTを組み合わせた新たな取り組みをスタートした。「30日単位としていた宿泊期間を1日単位にすることで、買いやすい仕組みができたと思っている。不動産は所有者を証明するコストが高い業界だと思っていて、その課題を解決する1つがNFTの仕組み。不動産を利用する権利を販売するいい仕組みができたと考えている」と新たな仕組みを生み出す。
NOT A HOTELの立ち上げから約2年。「以前は少ないスタッフで運営していこうと思っていたが、現在の社員数はグループ会社も含めると50名以上。運営を含めすべてを自社で賄っているため、人数を増やさないと対応できないということもあるが、優秀な人が集まるとすごく楽しい仕事ができる。今後もオンライン販売などできる部分は省力化しながら、NOT A HOTELならではのリソースをもとに、新しい不動産と仕組みを作り出せるような組織にしていきたい」と状況に応じて柔軟にビジネスに取り組む。
自らも「NOT A HOTELで暮らす準備を整えている」という濵渦氏。「とにかく荷物が少なくなった。こんなにものっていらなかったんだなと実感している。旅がしやすくなるのはすごくいい環境。楽しい人生になると思っている」と旅する暮らしを実践している。
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