au通信障害で注目「サブ回線」の選び方--「障害に備える」以外の用途にも注目

 7月2日未明に起きたKDDIの通信障害は、7月4日午後になってようやく落ち着き始めた。3日間近く音声通話やデータ通信が使えないというのは前代未聞。影響を受けた回線数が4000万近いというのも、KDDIとしては過去最大規模の通信障害となる。

 スマートフォンのデータ通信や音声通話が使えないということで困った人も多いだろう。物流や航空、自動車など、企業活動にも影響を及ぼした。

 今回、通信障害が発生したのが週末であったため、ビジネス関連の被害が少なかったのは不幸中の幸いだったかもしれない。これが平日の真っただ中で起きた通信障害であったなら、被害はさらに拡大していた。

 もちろん、緊急通報ができず、命の危険にさらされた人もいる。KDDIは一刻も早く原因を究明し、再発防止に努める必要がある。ただ、機械は壊れるものだし、人間はミスをする。完璧な体制を作れるのが理想ではあるが、障害が発生するのはやむを得ないとして、再発した際に、早急に復旧できる仕組みを整えるべきだ。

iPhone X以降のiPhoneは「デュアルSIM」に対応

 この週末、筆者も通信障害によって影響を受けた1人だ。

 普段配る名刺に刷っている電話番号はau回線だったりする。通信業界でニュースが起こると、テレビやラジオ局からコメントや出演の依頼を受けることが多い。

しかし、この週末は、au回線の通信障害が発生したことで、そうした依頼を受けること自体が難しくなってしまった。自分に連絡を取りたい人がいると思い、SNSで別に契約しているソフトバンク回線の電話番号を記載し、そちらに電話をかけてもらうようにした。

 筆者は仕事柄、au、NTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルと、MVNO、海外キャリアなどを複数の回線を契約している。

 メインで持ち歩いているのはau回線が入ったiPhone 13 Proなのだが、先月、アップルの開発者向けイベント「WWDC」に取材に行ったこともあり、au回線とともにソフトバンク回線もiPhone 13 Proに入れていたのだった。

 iPhoneはiPhone X以降、「デュアルSIM」に対応している。

 デュアルSIMとは、2つの携帯電話回線をひとつのスマートフォンのなかに入れておけるというものだ。日本で売られているiPhoneの場合、片方はプラスチックSIMカード、もう片方はeSIMを収納しておける。自分はau回線をプラスチックSIMカード、ソフトバンク回線をeSIMでiPhone 13 Proで使っていたのだ。

auとソフトバンクの2回線を組み合わせるメリットとは

 なぜ、auとソフトバンクの組み合わせなのか。

 auは仕事用の電話番号であり、多くのメディアからau電話番号に問い合わせがある。しかし、米国に出張し、現地で音声電話を受けると着信料として1分165円がかかってしまうのだ。

 アップルイベントで米国に渡航すると、期間中、やたらとテレビやラジオからの問い合わせを受ける。電話でのコメント取材や打ちあわせで数十分、電話をし続けるというのが朝から晩まで繰り返されるのだ。

 しかも、日本から電話をかける方は、着信する側に料金が発生しているなんてことを認識していない。いきなり電話がかかってきて、1分165円で課金される方は、たまったもんじゃない。

 そこで考えたのが、au回線からソフトバンク回線への「転送」だ。

 ソフトバンクでは、米国のキャリアであるスプリントを買収した際、「アメリカ放題」というサービスを提供している。米国滞在中の音声通話の発信と着信、さらにデータ通信利用料がすべて使い放題、無料という太っ腹なサービスだ。

 スプリントの買収に大失敗してあっけなく撤退した現在でも、アメリカ放題の提供は続いている。これを利用しない手はないのだ。

 米国に向かう羽田や成田空港で、au回線からソフトバンク回線に着信転送するように設定をしておく。ちょっと前までは、au回線からではなく、別の回線から特定の電話番号にかけると、自分の電話番号に対して転送設定ができたのだが、2022年5月よりできなくなってしまった。しかし、iPhoneであれば、iPhone本体から転送設定が簡単に行える。

 着信料金が発生していたときは、眉間にしわを寄せながら、できるだけ短い通話で終わらせようとぶっきらぼうな対応で、とても悪い印象を相手に与えていたことは間違いない。しかし、iPhoneのデュアルSIM、さらにアメリカ放題への転送設定により、アメリカ滞在中にどんなに長電話がかかってこようと、笑顔で対応できるようになった。

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