KDDIは7月4日20時から記者会見を開き、2日未明に発生した大規模な通信障害の進捗を説明した。7月4日16時時点で「ほぼ回復」と発表した障害について、完全復旧表明のめどは明日7月5日の夕刻と説明した。
同社によると、現時点で音声通話やデータの通信はほぼ復旧したものの、ネットワークやトラフィックの状態監視を継続しているという。個人および法人ユーザーのサービス利用状況を判断したうえで、明日5日の夕刻をめどに完全復旧を宣言をするとした。
また、昨日の会見では障害の原因について「設備障害によりVoLTE交換機でトラフィックの輻輳が生じたため」と説明していた。この対策の実施によってデータ通信は回復傾向となったが、実施後も音声通話がつながりにくい状態が続いていた。
この点についてKDDIは、全18台中6台のVoLTE交換機が加入者DBに対して過剰な信号を送出していることを昨日の会見後に突き止めたとした。これがデータ通信に比べて音声通話の復旧が遅れた原因であり、当該VoLTE交換機をシステムから切り離したところ、音声通話に関してもほぼ回復したという。
音声通話が回復傾向となったことを受けて、一時50%まで高めていた無線設備の流量制御を段階的に引き下げ、4日14時51分時点で流量制御をすべて解除したという。VoLTE交換機が過剰な信号を送出した原因は不明で、現在調査中としている。
今回の障害は2022年2月に発生したNTTドコモの障害や、2018年のソフトバンクの障害に比べて長期化した。この点についてKDDIは「端末からの接続要求が増えたという点で、ドコモさんと同じ事象。ドコモさんの障害を聞いて、当然弊社でも復旧手順をしっかりと準備していたが、それを作動させても収まらなかった。それに関してはこれからしっかりと検証していきたい。なお、ソフトバンクの障害は輻輳というよりもライセンス期限の問題なので、今回の障害とは事象が違う」と述べた。
また、ここ数年の携帯キャリアの通信障害は大規模化しているとの指摘もある。これについてKDDIは「スマートフォンには輻輳を起こしやすい仕様がある」「昔の3G時代にはここまで大きい障害は聞いたことがない。スマートフォンには、オールウェイズオンという形で常に端末が(ネットワークの)システムにアクセスしてくる。これがシステムの輻輳を起こしやすくしている可能性がある」と説明した。
ユーザーへの補償については「現時点では原因究明と再発防止を優先しており、お客様への対応については別途案内する」と述べるに留まった。
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