不動産、住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」で知られるLIFULLが運営する共同運営型コミュニティ「LivingAnywhere Commons(LAC)」は、京都三条に新たな拠点を6月30日にオープンし、記念イベントを開催した。
記念イベントでは、LAC事業責任者の小池克典氏と京都移住計画を展開するツナグムのタナカ ユウヤ氏が登壇し、コロナ禍によって大きく変化する働く場所の考え方や、コミュニティの重要性について語り合った。
LACは、どこでも自由に暮らせる社会の仕組み化を目指す活動として、Mistletoe ファウンダーの孫泰蔵氏が代表理事、LIFULL代表取締役社長の井上高志氏が理事となり、2017年に立ち上げられた「一般社団法人LivingAnywhere」を、2019年にLIFULLが事業化した。
住む、働く、交流する、をキーワードにワークスペースと宿泊ルームを備えた長期滞在可能なコミュニティ型施設「Co-Living施設」を全国に展開。メンバーは月額(税込)2万7500円で全ての拠点を何度でも利用できる(都度払い、回数券も有り)。現時点で38の拠点があり、22年度に50拠点、23年度には100拠点を目指す。
LACの拠点の多くは全国の遊休施設を利活用しており、会津磐梯や伊豆下田、八ケ岳など、いずれも中心地から離れた場所にあるという印象であった。だが、浅草や横浜日ノ出町など都心部の宿泊型コワーキングスペースと連携した拠点も増えており、今回ホテル一体型コワーキングスペース「.andwork」を併設する「ザ・ミレニアルズ京都」がLAC京都三条としてオープンした。
ホテルの寝室は「スマートポッド」という半個室スタイルだが、電動式でソファにもなる大きめのベッドは仕事にも合間のパワーナップ(積極的仮眠)でも利用できるなどハイセンスな作りにしている。コワーキングスペースの.andworkはいろんなタイプのワークプレイスがあり、大きめのキッチンは自炊も可能だ。宿泊者とコワーキングメンバーが交流を深めるため、夕方のハッピーアワーにはフリービアを提供している。
今回の新しい展開について小池氏は「これまでのLAC拠点で最もおしゃれ」と言う。一方でLACのリピーターは「利用者の7割は20代から30代で東京圏の方が多いが、アンケートによると景色がきれいな場所よりも訪れたことのない場所で新しい発見や交流ができることを求めているケースが非常に高い」と話す。
「どこでも仕事ができるのはみんなすぐにわかったけれど、なぜわざわざ移動するのかというと、家でテレワークするだけでは絶対得られない価値があるから。LACの基本はコミュニティなので拠点に必ずコミュニティマネージャーが在籍している。最近は企業や地方自治体とのコラボレーションも増え、ワーケーションを通じた関係人口創出事業にも取り組んでいる。そこで相互にいろんな発見があり、結果的に地域活性にも寄与できていると感じる」(小池氏)
LACはオンラインコミュニティをSlackで運営している。800人ほどの参加者が自発的に新しいプロジェクトを次々に立ち上げ、メンバー同士で新しく仕事を始めたという話もよくあるという。そうした中で「京都の中心地に新拠点が設けられたことで、これまで以上の広がりができることに期待している」と小池氏は話す。
京都への移住促進サイトや関西のコワーキングスペースを連携する活動をしているタナカ氏も、コミュニティは重要で、働きながら交流できる.andworkやLACに注目していたと話す。コミュニティを生み出すにはきっかけが必要なので食と酒があることは大事だとし「出会った人たちが一緒に食べに出かけて、そこでさらに新しいつながりが街全体で生まれてほしい。移住も同じでいきなりは難しいので、お試しにLACを利用するのはいいのではないか。京都は観光地のイメージが強いけれど、商店街もけっこうあるし、普通に生活しやすいというのはLACを利用する方が実感できるかもしれない」と語った。
今回のイベントではドリンクと軽食も提供され、交流の形も少しずつコロナ前に戻りつつあることを感じさせた。だが、働き方や住む場所の考え方に関しては全て以前の形に戻るわけではなく、大手企業が続々と積極的なリモートワーク推奨を進めるなど、むしろこれから大きく変化する可能性がある。ワーケーションとはまた少し異なる動きが生まれていることを感じさせる、LACの成長と今後の展開がますます気になるところだ。
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