パナソニック 空質空調社は7月1日、業務用空調ソリューションによる分散型エネルギー事業に本格参入すると発表した。廃熱を有効活用し、カーボンニュートラル実現に貢献していく。
石油、石炭、天然ガスなど一次エネルギーの約6割が電気エネルギーなどへの変換時に廃熱として失われると同時に、CO2として排出されているとのこと。パナソニックでは、この廃熱を有効活用し、分散型エネルギー事業を展開していく。
パナソニックでは、自然冷媒である水を利用したノンフロン空調システム「吸収式冷凍機(ナチュラルチラー)」を50年に亘り販売。国内でトップシェアを持つ。これを、コージェネレーションシステムと組み合わせ提案していく方針だ。
ターゲットに据えるのは「カーボンニュートラルはわかるけれど何から始めていいのかわからない」「これまで省エネに取り組んできたが、さらに効果を出したい」などの課題を持つ中規模事業者。
「従来までのお客様は、CO2削減やBCPに関心の高い大規模事業者の方だった。今後は、CO2削減などに関心が高まる中規模の病院、工場、公共施設などに提案していきたい」(パナソニック 空質空調社 空調冷熱ソリューションズ事業部業務用空調ビジネスユニットビジネスユニット長の小松原宏氏)と話す。
パナソニックでは、分散型エネルギー事業の本格参入にあたり、「分散型エネルギー事業推進室」を新設。業務用空調機器やクラウドの導入コンサルティングから、運用、アフターフォローまでを、エンジニアリング販売会社であるパナソニック産機システムズと連携して推進する。現在チームメンバーは9名。「現場でやってきたメンバーに入ってもらっている」(小松原氏)と、廃熱やエンジニアリングのプロフェッショナルが集まる。
先行事例として導入した、群馬県邑楽郡にあるパナソニックの大泉拠点では、工場全体でCO2排出量を17%削減し、エネルギーコストを23%削減する効果が得られたという。
あわせて、業務用空調向けIoTサービス「Panasonic HVAC CLOUD(パナソニック ヒーバック クラウド)」も開始する。スタートは2022年12月。吸収式冷凍機の運転効率をリアルタイムで分析し、消費エネルギーの低減を実現する。
部品単位の使用状況を分析し整備計画の作成を支援、機器管理業務を効率化するほか、2023年以降には、機器の使用状況に合わせクラウド上で自動チューニングし、運転効率を改善する機能を追加する計画だ。
パナソニックでは、見逃されがちな廃熱有効活用ソリューションを医療、公共施設、工場・農業などの幅広いお客様へ提案し、世界規模の課題となっているカーボンニュートラル実現に貢献していきたいとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」