NTT東日本は6月15日、東京海上日動火災保険、トレンドマイクロと共同で、「株式会社NTT Risk Manager(エヌ・ティ・ティ・リスク マネージャー)」を7月1日(予定)に設立すると発表した。
(1)リスクマネジメント分野に関するコンサルティング、(2)損害保険代理業、(3)リスク対策サービス開発、の3つを事業とし、リスクマネジメント分野におけるワンストップサービスを提供する。
具体的には、監査や点検、各種認証取得の支援や人材育成などのコンサルティングを提供しつつ、代理店として保険を販売する。平行して、SMSやメール、ウェブなどのオンライン詐欺とリアル詐欺のように、オンラインとオフラインの両面に関わるリスク対策サービスの開発を検討するという。
NTT Risk Managerの資本金および資本準備金は2.5億円。出資比率は非公表だが、NTT東が過半数を占めるという。代表取締役社長にはNTT東日本 ネットワークセキュリティ推進室 室長を務める一ノ瀬勝美氏が就任する予定だ。
ESG経営の進展、個人情報保護法の改正などを背景に、リスクマネジメントの重要性が向上。サイバー空間における攻撃の高度化と多様化、サプライチェーンの業務停止に伴う自社業務への連鎖的影響など、企業を取り巻く脅威が複雑化している。
NTT東日本 執行役員 経営企画部 営業戦略推進室 室長の加藤成晴氏は、「サイバーとリアル両方の空間にリスクが広がっており、今後の課題解決には高い専門性が求められる。(NTT東は)サイバー分野となるネットワークセキュリティに留まっており、通信以外(のセキュリティ)はできない。『NTTに依頼して対策はしたけれど、不安』という声が多かった」と課題を語る。
実際にトレンドマイクロ製品を販売するNTT東の営業と、東京海上日動火災保険の営業が同席する提案も行われており、好評だったようだ。
一方で、地域の中小企業やコミュニティには、複雑化する脅威への対策の検討や実行に十分取り組めていないという課題もある。リスクマネジメントプランの立案や人材育成、保険を含む有事の対応まで、トータルなリスク対策支援が求められているという。
「ICTを通して地域の課題解決を進めてきたNTT東日本、損害保険の分野で広範囲にリスク対策に取り組んでいる東京海上日動火災保険、サイバーセキュリティ分野を中心に技術を有するトレンドマイクロの3社が保有するリスクマネジメントに関する知見を生かし、サービスをワンストップで提供する。都市部などで失われつつある、コミュニティの相互扶助機能をバックアップすることを目的として、地域社会と共にさまざまなリスクに立ち向かう」と、地域社会の多様なリスクを包括的にカバーするという狙いを説明した。
NTT リスクマネージャー 代表取締役社長に就任予定の一ノ瀬勝美氏は、社名には「お客様に寄り添って、身の回りのリスクを対処できる、頼れる存在であること、そういったことが行える専門集団」という思いを込めたと説明。また、5年後に単年で20億円の売り上げという目標を掲げた。そのほか、人員体制は「初年度の社員数は10人弱、5年後に30人強」(NTT リスクマネージャー 代表取締役副社長に就任予定の白石涼子氏)を目指すという。
売上比率は7割がコンサルティング、1割が保険となる見込み。まずはICT関連の売り上げを多く見込むが、「NTT東日本グループには、農業や畜産、ドローンといった地方創世のための企業も多くあり、リアルとオフラインを含むさまざまリスクを抱えている。やってみないとどうリスクマネジメントできるか分からないが新たな分野にも取り組んでいきたい」(加藤氏)と、将来的な構想を補足した。
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