パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は6月7日、JVCケンウッド、WiLと、エッジAIの社会インフラ「Vieureka(ビューレカ)プラットフォーム」を提供する新会社「Vieureka株式会社」に共同出資し、7月1日より営業を開始すると発表した。
エッジAIとは、ハードウェアとAIを掛け合わせ、AI技術を利用したソリューションを、外部ネットワークを介さずに現場で活用可能にする技術のこと。リアルタイム性が求められる利用シーンにおいて、安心・安全かつ低コストで人手の作業置き換えができ、生産性の向上が可能になるという。
パナソニックHDでは、エッジAIを現場で実装するために、開発・導入を簡易にする基盤技術や、導入後の手軽な運用および柔軟な拡張ができる仕組みが不可欠と考え、エッジAIの現場実装を支える社会インフラとして、2017年よりVieurekaプラットフォームを提供している。
Vieurekaプラットフォームは、パナソニックHDの研究開発部門で蓄積してきたハードウェア、ソフトウェア、AIなどの技術を掛け合わせたエッジAIプラットフォームサービス。現在、65社がVieurekaパートナープログラムに参画し、小売・流通業界、介護業界、製造業界への導入により、売り上げ増や業務の効率化を実現した。さらに、交通、公共施設、建設、農業など、さまざまな業界でのエッジAI活用に向けた取り組みを続けている。
今回、Vieureka事業の取り組みを加速するため、パナソニックHD、JVCケンウッド、WiLが共同で出資し、新会社Vieurekaを運営。パナソニックHDでVieureka事業のプロジェクトリーダーを務める宮崎(立つ崎)秋弘も出資し、新会社に移籍して代表取締役に就任する。
宮崎氏は「エッジAIを社会実装できるレベルにまで引き上げているのがVieurekaの強み。遠隔で正しく動き、それに伴うメンテナンスもきちんとできる。パナソニックの中で10年前から構想をあたため、今回会社として独立できたのは、エッジAIの社会が必ず来ると揺るぎない確信があったから。実際は、小さなチームで、半分隠れながら、目立ちすぎないように取り組んできた(笑)。小さな実績を積み重ね目立たずにできたことと、それを理解してくれる上司や上層部に恵まれたことが、会社として独立できた要因」と思いを明かす。
一方、上司として見守ってきたパナソニック ホールディングス 執行役員グループCTOコーポレートイノベーション・ベンチャー戦略担当の小川立夫氏は「宮崎が起業してでもやろうという執念を持っていたことが大きい。10年の間には事業部に移管しようと考えたこともあったが、今渡すと元々やりたかった世界が作れる前につぶれてしまうと言われた。この10年間の粘りの成果が今回につながっている」とした。
Vieurekaの株主構成は、パナソニックHD 32.967%、JVCケンウッド 32.967%、WiL 31.868%で宮崎氏自身も2.198%の株を保有するとのこと。2030年に100億円規模の売上を目指す。
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