米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画の目的は、宇宙飛行士を再び月面に着陸させ、短時間探検させることだけではない。NASAは、より長期の滞在も計画しており、月面での水資源の発見に焦点を当てている。新しい研究によると、宇宙飛行士は古代の火山によって残された水を調査する必要があるという。
今日では、月は静かな場所に思えるが、今から何十億年も前は、火山の噴火が月を揺るがしていた。コロラド大学ボルダー校の研究によると、月の北極と南極には、過去の火山活動の遺産として、最大数百フィート(1フィートは約30.5cm)の厚さの氷が広がっている可能性があるという。
5月にThe Planetary Science Journalに掲載された論文の筆頭著者であるAndrew Wilcoski氏は、コロラド大学ボルダー校の5月18日の声明の中で、「われわれは月面の水について、霜が時間をかけて蓄積したものだと考えている」と述べた。
チームはコンピューターシミュレーションを使用して、火山の影響を調査した。彼らのモデルは、火山によって噴出された水蒸気が地表に戻ってきて氷になった可能性を示唆している。研究者らはこのプロセスを、地球で寒い夜の後に霜が降りる現象に例えた。「グループの試算によると、火山によって噴出された水の約41%が月面で凝固して氷になった可能性がある」(コロラド大学)
今回の調査により、月面の水に対する科学者たちの理解はさらに深まった。NASAは2020年、月面に水が存在する決定的な証拠を発表した。水が存在することは分かったが、その場所や量、起源、アクセス方法は、まだ解明されていない。2022年に発表された論文では、月面の水の起源が地球である可能性も論じられている。
コンピューターシミュレーションが正しければ、クレーターの中に分厚い氷が存在し、月の地中に隠されている可能性がある。その水は、飲料水やロケット燃料の製造に使用できるかもしれない。ロボットや人間の探検家は、それが事実かどうか確かめるべきだろう。Wilcoski氏は、「実際に穴を掘って、水を探す必要がある」と述べた。
NASAでは2023年に月面探査車「Volatiles Investigating Polar Exploration Rover」(Viper)の打ち上げを予定している。Viperは、月の南極にある氷の堆積物を探し出して、月面の水の秘密を解き明かそうとしている研究者に新たなデータを提供してくれるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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