クラウド請求書受領サービス「バクラク請求書」をはじめとして、コーポレートDX支援のバクラクシリーズを展開するLayerXは5月10日、“次世代経費精算システム”をうたう「バクラク経費精算」をリリース。また今後は法人支出管理SaaSとして展開する方針を示し、2022年内には法人カードの提供も予定していることを発表した。
バクラク経費精算は、AI-OCRの技術を活用した経費精算システム。利用者の課題を正確に把握するため、要件定義や開発には6カ月以上をかけ、100回以上のヒアリングを実施するなど、次世代の経費精算体験を目指して開発。これを踏まえて、バクラク経費精算における特徴のひとつとなっているのが、領収書をまとめてアップロードできる機能。一気にアップロードすることができ、AIが自動でデータ化。入力補助機能も搭載し、サクサク申請ができるとうたう。改正電子帳簿保存法にも対応する。また承認者向け機能として、二重申請防止や月またぎの経費申請防止、出席者情報、単価上限といった各種アラートも今後提供予定としている。
なお、2022年6月末まで契約で、利用料が半年間無料になる特別キャンペーンを実施する。
同日に行った説明会では、LayerX 代表取締役CEOの福島良典氏と、同SaaS事業部プロダクトマネージャーの飯沼広基氏がサービスの説明ならびに、今度のロードマップについて説明した。
飯沼氏は、昨今経費精算システムは提供事業者が多く成長市場にあることを踏まえ、自ら“最後発”と言うほど後発といえるタイミングで参入する理由として、「本当の意味で、お客様の課題を解決するサービスがまだない」「テクノロジーと体験(UX)の両立がされているサービスはまだない」と指摘する。
その背景として、LayerXが既存の経費精算システムを活用している会社の従業員に実施したアンケートで、導入している経費精算システムを使った手続きを面倒だと感じているという回答が約7割あったこと。また経費精算システムに求める項目として「使い方を教わらなくても使える」「操作回数が少なく、サクサク動く」「領収書の転記作業がない」といった、体験を重視するものが上位に挙がっていることを説明。現状において、テクノロジーと体験に分断が起き、片方のみのサービスが大半であることから、多くが面倒と感じていると指摘する。
そして、テクノロジーによる利便性と、徹底的に考え抜かれた体験が両立されたものほど、利用者に支持されると説く。バクラクシリーズとしては、利用者の課題にフォーカスし、体験を重視して圧倒的に使いやすいプロダクトとして提供することをサービス理念として掲げている。経費精算の領域でもテクノロジーをコアとして、体験を重視した次世代経費精算システムとして開発したと語る。
既存の経費精算システムにおいて、AI-OCRの技術が活用されているものも少なくないが、前述のアンケートでも「1枚ずつしか領収書を認識しない」という声が多かったことや、実際にはOCRの読み取りに数十秒かかるような実態があると指摘。バクラク経費精算であれば、領収書をまとめてアップロードできる機能や、数秒でデータ化できること、さらに読み取れなかった値についても、画面と手元の領収書を見ながらではなく、1画面で作業を行うことができることをメリットとして挙げている。
福島氏は、バクラク経費精算のリリースにより、バクラクシリーズを請求書SaaSから法人支出管理(BSM:Business Spend Management)SaaSへと展開することについて語った。
法人の活動において、売り上げをあげるプロセスではセールスフォースなどの登場によりデジタル化が進んでいる。一方で、費用についてはプロセスのデジタル化が進んでおらず、手作業や目視などアナログでの作業が多く残っている領域と指摘。LayerXでは手作業や紙、Excelで行われている領域に着目し、バクラクシリーズとしてのツール群を提供することでデジタル化を推進。法人がお金を使う全方法(請求書、経費精算、稟議、決済)に対して、一気通貫で進められるようになり効率化が図れると説明する。
福島氏は“一気通貫”をポイントとして挙げる。そもそもバクラク請求書は、請求書の処理にアナログ作業が例外なく残っていることから、課題解決として開発したことを振り返り、そこから利用者のニーズに沿ってサービスを広げてきたと語る。今回のバクラク経費精算も、経費精算がないと稟議システムを寄せられないなどの声を受け、バクラク申請と経費精算は切っても切り離せない関係にあることからリリースするに至ったと明かす。と同時に、ヒアリングを通じて法人支出管理に対するニーズが高く、そのうえでは経費精算に関するサービス提供は重要なものと付け加えた。
2022年内には法人向けカードも展開。これによってバクラクシリーズは請求書、経費精算、ワークフロー、電子帳簿保存のプロダクト、決済といった全てのフローが一気通貫になる唯一のサービスになると語る。その法人向けカード提供も「バクラクのカードがあると便利だから」という声が大きかったことを受けて、実現に至ったという。既存の法人カードについてもさまざまな課題があることをヒアリングして認識しており、デジタルじゃないことによる体験の悪さがあることがネックとしてあり、これを解決したものを提供するとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス