アップル、「iPod touch」の販売を終了へ

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年05月11日 07時49分

 初代「iPhone」を発売してから間もなく15年になるAppleが、姉妹製品「iPod touch」の販売を終了する。同社は米国時間5月10日、iPhoneとiPodのハイブリッドデバイスとして2007年に発売したiPod touchの販売を、在庫限りで終了すると発表した。これにより、20年前に登場し、エンターテインメント業界の改革に寄与したiPodシリーズの歴史が幕を閉じる。

iPod touch
提供:Apple

 Appleは、現在の在庫が終了するまで自社ウェブサイトでiPod touchの販売を継続するとしている。

 「音楽は常にAppleの中核をなす要素の1つで、iPodは何億人ものユーザーに音楽を届けることによって、音楽業界だけにとどまらない影響を与えた。また、音楽を発見し、聴き、共有する方法も再定義した」と、Appleのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるGreg Joswiak氏は発表の中で述べた。

 Appleの今回の動きにより、最も影響力の高い製品の1つがハイテク業界から姿を消すことになる。2003年には、音楽プレーヤーのiPodと音楽ソフトウェア「iTunes」が、デジタル音楽を購入するという概念を人々に伝える役割を果たした。これは、エンターテインメント業界が「Napster」などのソフトウェアによる音楽共有の普及と闘っていた時代に、論争を呼ぶアイデアだった。その後2005年には、Appleはこの概念をデジタル映画やテレビ番組の購入にまで拡大した。

 2001年9月11日に発生した米同時多発テロ事件の1カ月余り後に発表された初代iPodは、Appleにとって大きなリスクだとみなされていた。同社は当時、その数年前に倒産寸前にまで陥った経済的基盤を再建しようともがいていた。当時、社名はまだApple Computer Inc.で、1998年に初めて発売された一体型コンピューター「iMac」や、その1年後に発売された消費者向けノートPC「iBook」など、まったく新しい製品カテゴリーでいくつかの同社最大の賭けに出ていた。「i」で始まるその他多くの製品が登場したのは、その直後のことだ。例えば、Appleの「iLife」は、写真や映画を整理するためのソフトウェアで、「iWork」は、Microsoftの「Office」に対抗する製品だった。しかし、同社にとって最大の成功となったのが、iPodと音楽ソフトウェアのiTunesであったことはほぼ間違いない。

 Appleはその後、iPodシリーズのラインナップを拡大し、「iPod mini」「iPod nano」「iPod shuffle」といった製品を投入した。これらの製品は2014年から2017年にかけて販売終了になっている。

 iPodはそれ以来、スマートフォンのiPhoneによって影が薄れていった。2007年6月に発売されたiPhoneを、共同創設者のSteve Jobs氏は当時、「iPod、電話、インターネット通信機器」という3つのイノベーションを組み合わせたものだと紹介した。2007年の年末商戦前に発表されたiPod touchは、電話機能なしのiPhoneと呼ばれ、Appleと独占的契約を結んでいたAT&Tに加入していないユーザーや、米国、英国、フランス、ドイツ以外の国に住むユーザーを対象としていた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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