相談しにくい「更年期の女性」の悩みをフェムテックで解決--TRULY・二宮氏の目指す社会の形 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2022年04月30日 09時00分

教科書的な情報より、生々しい体験談や解決方法が求められている

——メディアなどのサービス開始は2020年で、そこから2年ほどたちました。今のところの手応えとしてはいかがですか。

 ビジネスとしての不安や課題はありますし、日々苦戦しているんですけど、フェムテック領域がここまで社会的に注目が高まるとは想像していなかったというのが正直なところです。私がこの事業を構想し始めたときにはフェムテックという言葉もなかったんですよね。世の中の注目、関心が高まってムーブメントのようになるにつれて、自分のTRULYもフェムテックなんだな、と後に実感するようになった感じです。

 最近は、他の企業の方と一緒に仕事させていただくときや、メディアに取り上げていただくときは、更年期の分野における課題感や、それに対してサービス提供する意義みたいなところに価値を感じていただくことが多く、やはり必要で、やるべき事業だったなということは確信として高まっていますね。

——TRULYのサービスを利用しているユーザーの方からはどんな感想が届いていますか。

 婦人科を受診するのはハードルが高いと思っている方が多いですし、多くの人にとって知識のない領域でもあるので、それをオンラインで気軽に解決できる、相談できる場所があるのはすごくありがたい、という声をいただいています。便利なだけでなく、医師や専門家が監修しているという信頼性、安心感もあると。

 すごくセンシティブでデリケートな悩みを解決したくて訪れる方が多いんですが、そういう種類の情報には眉唾なものも世の中にはあふれています。これを食べたら女性ホルモンが増えるとか、根拠のない情報もある中で、TRULYでは医師・専門家のプロフィールもきちんと開示したうえで、信頼性の高い情報を発信している。そういうところを評価いただけているのかなと思います。

——記事コンテンツ、セルフチェック、チャット相談と3つのサービスがありますが、利用者が多いのはどのサービスになるでしょう。

 一般のユーザーですと記事コンテンツやセルフチェックが多いですね。チャット相談はそこまで頻繁に利用するものではない、というのが実感です。ただ、世の中の女性が求めていることが我々としてもだんだんわかってきている部分もあります。たとえば自分と同じ悩みを持っている人がどれぐらいいるのか、その人たちはどうやって乗り越えたのか、みたいな情報をすごく求めていることがわかりました。

 こういう症状が起こったときはこうしましょう、みたいな教科書的な情報より、もっと生々しいリアルな体験談とか、みんながどんなことで相談してるのかとか、そういう情報を求めている。直接チャット相談につなげることにはこだわらず、みんながどういうことに悩んで相談しているのか、そういうことを伝えていく必要があるんだなということに気づきました。

 なので、「みんなの相談」という記事カテゴリーを作って、みなさんの相談内容を個人が特定できない形で紹介するようにしています。ここはすごく反響が大きくて、コンテンツをさらに充実させていくことも考えているところです。

——ちなみにTRULYを立ち上げるまでに苦労したこと、印象的なエピソードなどはありますか。

 最初は社内ベンチャーとしてスタートするはずだったものが、会社が出資しないことになって、外部資本を入れないことには事業を実現できないとわかったときが大変でしたね。ベンチャーキャピタルからの資金調達がこれまでの人生で最大の山、チャレンジでしたし、法人を作るのも初めての経験で、そういう意味では自分が会社経営をしていくにあたってあまりにも準備不足というか、知識不足で、そこですごく苦労しました。

 TRULYはいいテーマだし会社の売り物として魅力的に見せてほしいと期待をされる一方で、資金調達をしなければいけないし、事業開発もしなきゃいけない。サービスをローンチする前からいろいろなことを求められて板挟み状態で、正直苦しい気持ちもありました。

 一方で、大企業ということでクライアントへのドアノックルートが既にあったのはメリットでしたし、結果的に元の会社を通じて仕事が生まれたこともありました。アセットというほどの大げさなものではないですが、今後もそうして作ることができたネットワークは有効活用していきたいと思っています。

やりたいことを貫ける環境か、会社と認識合わせすることが重要

——今後組織としてどのように成長させていきたいと考えていますか。

 今は社員3人と業務委託が15人くらいの規模で、コロナ禍に立ち上がったので基本テレワークで、少数メンバーで進めていますが、もちろんそれで仕事がしっかり回っているとは言えません。限界があるのでそう案件を増やせないですし、人材を採用するのも教育のことを考えると大変です。今はそのメンバーの中でできることをやっている感じです。

 でも、パートナー企業はもっと増やしていきたいですね。期待しているのは、事業シナジーがあるところと、TRULYのミッションに共感していただけるところです。私が初めて既存の更年期のサービスや情報を見たとき、げんなりした古めかしさというか、ネガティブさ、女性にとって受け入れがたい印象があって、実際に世の中のイメージとしてもそうなっていました。それを変えたいと思ったのが事業立ち上げの源泉にあるので、そこに共感して仲間として一緒にやっていけるような、そういうパートナー企業だといいなと思います。

 業種は問いません。不動産業も旅行業界も、美容や健康、金融、教育も関係してきます。更年期の世代はプレ更年期を含めると30~50代と広いですし、更年期は40代以降の男性にも存在する課題で、女性だけのものではありません。そう考えると、もはや国民の2人に1人は更年期世代で、あらゆる業種、あらゆる人が関係するポテンシャルのあるテーマ、マーケットだと思っています。

——最後に、イントレプレナーに必要なことは何だと思いますか。

 精神論みたいになってしまいますが、やり抜く覚悟でしょうか。やってみないとわからないことだらけ、やってみて知ることだらけなので、事前に勉強したことなんか覚えていないくらいに、やってみてから初めてわかることがいっぱいあるなと。ですので、会社がイントレプレナーを後押ししてくれるような風土や仕組みがあるとすごくありがたいですよね。

 私の場合は正確にはイントレプレナーとは言えないのですが、じゃあ社内ベンチャーとして始められたら良かったのかというと、会社の基準やルールに縛られずに事業を開発できるなら、社外で立ち上げるのも1つのいい選択だと思っています。会社の環境次第ですよね。どこまで会社が自由にやらせてくれるか、会社のスタンスみたいなものによって、社内と社外のどちらで事業を始めるのがいいのかは左右されるように思います。本当にやりたいことを貫ける環境なのか、そのあたりが会社と事前に認識合わせできているかどうかは、すごく重要じゃないかなと思います。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]