救急医療データプラットフォーム「NEXT Stage ER」を提供するTXP Medicalは4月5日、伊藤忠商事および、既存投資家の東京大学エッジキャピタルパートナーズを引受先とする第三者割当増資により、シリーズBラウンドで約15億円の資金調達を4月に完了したと発表した。
同社は、救急医療現場における医療情報の分断を解決する企業として、救急現場と病院間における情報のバケツリレー(紙・電話)をデジタル化。病院の電子カルテ内の文章など、非構造化データを医学研究やその他業務に利用しやすい構造化データへと変換するプラットフォーム「NEXT Stage ER」を病院向けに提供している。
同プラットフォームにより、主訴や既往歴、臨床診断名、重症度スコアなど、カルテテキスト内には存在するものの、文章の一部であるため利活用が困難であった詳細な医療データが活用可能となり、急性期領域における医療の質の可視化が実現できるという。
対象は、救急搬送の受入数が多く、地域救急医療の要となる各地の救命救急センタークラスの大病院。大学病院の救命救急センターセグメントではシェア20%を超え、蓄積される救急患者の情報は年間50万件を超えるという。
さらに、これらの病院と救急隊の即時情報連携を実現する入力支援AI機能を搭載したモバイルアプリ「NSER mobile」を自治体向けに提供。すでに鎌倉市や豊田市など、全国での実利用を通じて、適切な救急搬送先選定と救急搬送時間の短縮も実現している。
同社では、病院や自治体向けにサービスを提供する一方、提供するサービスにより創出される医師とのタッチポイントや、サービスから得られる医療データを活用した製薬企業向けの治験支援サービスを2021年より開始している。
同支援サービスでは、高精度な治験の施設選定や治験対象患者のリアルタイム特定など、急性期疾患の医薬品の治験リクルーティング期間を短縮するサービスとして、営業を強化しているという。
今回調達した資金については、既存事業の拡大にあてるほか、複数の新規事業(がん領域への参入、製薬企業向けサービスの強化、救急医療DXプロダクトの海外展開)の立ち上げおよび、関連する各事業を牽引していく人材採用の強化に充当する予定。
伊藤忠商事とは、事業面での協業も視野に入れており、伊藤忠グループであるCRO(医薬品開発業務受託機関)大手のエイツーヘルスケアをはじめ、多くの医療・ヘルスケア関連企業との事業シナジーが期待できるという。
また、中長期事業展望などについて解説するWebページを同日に開設。既存事業・新規事業に関する説明のほか、これらに関連するオンラインイベントを順次開催していくという。
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