Amazonのニューヨーク市スタテン島にある物流倉庫で、同社の施設では米国初となる労働組合の結成が従業員の投票による賛成多数で可決した。承認されれば、全米で勢いを増しつつある労組結成の動きに弾みがつきそうだ。
投票は6日間、倉庫で実施された。開票結果は賛成が2654票、反対は2131票だった。投票に至るまで、労組結成を目指す従業員団体は全米労働関係委員会(NLRB)に対し、Amazonによる不当な労働慣行に対する苦情を訴えていた。
現従業員と元従業員によって新たに結成された団体「アマゾン労働組合」(Amazon Labor Union:ALU)は、2020年に新型コロナウイルス対策の強化を求めた従業員らの活動から生まれた。ALUはその後、ストを計画した一部の従業員が懲罰を受けたり解雇されたりしたことを受け、労組結成を目指すようになった。解雇された元従業員のChris Smalls氏も、Amazonの上層部が注意を払った1人だった。Amazonの法務顧問David Zapolsky氏は、後に流出したメモの中で、Smalls氏は「賢明でも雄弁でもない」とし、AmazonはSmalls氏を騒動の矢面に立たせるよう仕向けるべきだと述べていた。
@amazon wanted to make me the face of the whole unionizing efforts against them…. welp there you go! @JeffBezos @DavidZapolsky CONGRATULATIONS 1F389 @amazonlabor We worked had fun and made History ‼270A #ALU # ALUfortheWin welcome the 1st union in America for Amazon U+1F525U+1F525U+1F525U+1F525
— Christian Smalls (@Shut_downAmazon) April 1, 2022
アラバマ州のAmazonの物流倉庫で米国時間3月31日に実施された労組結成投票の結果は僅差だったという。有効性が争われている数百票の是非が確定すれば、結果に影響が生じる可能性がある。
Amazonは声明で、スタテン島で実施された投票の結果に失望しているとし、「企業と直接関係を持つことが従業員にとってベストだと考えている」と述べた。
さらに、「NLRBによる不適切で不当な影響力」に基づく今回の投票に、Amazonは異議を申し立てる選択肢を検討するとしている。米CNETは、影響力とはどのようなものかと問い合わせたが、Amazonから回答は得られていない。
NLRBのスポークスマンであるKayla Blado氏は声明で、「NLRBは、米議会によって全国労働関係法の執行を任された独立した連邦機関だ」と主張した。「Amazonに対するNLRBのすべての執行活動は、議会の定めに従っている」(Blado氏)
ホワイトハウスのJen Psaki報道官は記者会見で、Joe Biden米大統領は、「職場における重要な決定事項に関して、労働者の声が確実に届いたことは喜ばしい」と語った。「すべての州で全労働者に、労働組合に加入する自由で公平な選択肢と、雇用主と団体で交渉する権利が与えられるべきだと大統領は考えている」(Psaki報道官)
Amazonは、従業員に反対票を投じるように促すための大がかりなキャンペーンを展開していたとされている。労働組合のマイナス面を説明するコンサルタントとのミーティングを義務付けたほか、スマートフォンにメッセージを送ったり、職場の至る所に張り紙をしたりしていたという。ALUは、そのような状況下で勝利を収めた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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