先週ブリュッセルを訪問して欧州連合(EU)の首脳たちと会ったJoe Biden米大統領が、欧州委員会のUrsula von der Leyen委員長と合意に至ったことに、世界各地のテクノロジー企業は安堵しているはずだ。両首脳は現地時間3月25日、米国と欧州にまたがるデータ移送の新たな枠組み関する基本合意を共同で発表した。
今回の合意は、GoogleやMeta Platformsのような超大手をはじめとするテクノロジー企業にとって極めて重要なものだ。これらの企業は、適切に機能するために米国と欧州の間でデータを移転できる環境を必要としている。Metaは2月、新たな合意に至らない場合、欧州から撤退する可能性もあると警告していた。
Metaの国際問題担当プレジデントであるNick Clegg氏は25日、「世界のインターネットが断片化するとの懸念が高まる中、今回の合意は、人々のつながりとサービス運営の継続に有用だ」とツイートした。「迅速かつ安全なデータ移送を必要とする、Metaなど米国と欧州のあらゆる規模の企業に計り知れないほど貴重な確実性がもたらされる」(同氏)
2020年7月、欧州の最高裁判所は、データ移管に関するEUと米国の枠組み「プライバシーシールド」を無効と裁定した。裁判官らは、プライバシーシールドの認証が欧州市民を、米国の監視活動から欧州と同じ方法で適切に保護していないとの懸念を示した。つまり、EU域内であれば法律で規定されているプライバシー保護が、個人データが米国に移されても維持できる保証がなかった。
今回の基本合意は土壇場で実現した形となったが、それでもプライバシーシールドに取って代わるほどのものではない。Metaなど、EUから米国へのデータ移転を必要とする企業が、今後も事業を続けられるようにするには、数カ月以内に最終合意を取りまとめる必要がある。
Biden大統領とvon der Leyen欧州委員長は25日、この新たな合意について、プライバシーと市民の自由を保護するものだと述べるにとどめ、詳細は明らかにしなかった。von der Leyen氏はこれについて、「セキュリティとプライバシー権、データ保護のバランスを実現するものだ。われわれのパートナーシップを強化する新たな一歩だ」とツイートした。その間に水面下では、標準契約条項(SCC)に関する法的判断が下される前に、新たな最終合意を取りまとめるべく交渉が進められているようだ。
Pleased that we found an agreement in principle on a new framework for transatlantic data flows.
— Ursula von der Leyen (@vonderleyen) March 25, 2022
It will enable predictable and trustworthy data flows, balancing security, the right to privacy and data protection.
This is another step in strengthening our partnership. pic.twitter.com/7Y0wslR7Go
プライバシーシールドとその前身の「セーフハーバー協定」に法的異議を申し立て、これらの枠組みが無効であるとの裁定を勝ち取ってきた弁護士のMax Schrems氏は、今回の発表を受けて声明を発表し、明文化されていない政治的な発表は、当面さらなる法的不確実性を生みだすとの見方を示した。そして、米国が監視法を根本的に見直す動きを見せていないことを理由に、今後新たな合意が成立したら、それにも法的異議を申し立てる用意があると述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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