広島県は3月16日、スタートアップ企業の挑戦への支援をより強化すべく、同日から「ひろしまユニコーン10」プロジェクトを始動させると発表した。
世界に羽ばたき大きく成長するユニコーンのような企業を10年間で10社創出すべく、10のサポートメニューを提供する。
具体的には、交流拠点「イノベーション・ハブ・ひろしま Camps」を中心としたパートナーマッチングや、108の実証実験を実施してきた「ひろしまサンドボックス」による実証、社会実装を全面的にサポートする。
また、それぞれのフェーズに応じて専門家のサポートや経費のほか、高度な人材育成やスパコン利用環境、資金獲得に向けた情報発信などもサポートするという。
“環境・エネルギー/カーボンリサイクル”“健康・医療関連”の2つの分野には、特化したサポートメニューを用意。そのほか、海外ビジネス展開や広島県への移転、マンパワーによるアシストなどでサポートしていくという。
広島県はこれまで、世界に選ばれる「イノベーション創出拠点ひろしま」を目指した取り組みを実施。デジタル技術を活用して県内外のスタートアップと共創し、新たなビジネスの実証実験を実施するひろしまサンドボックスや、国が指定する「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての支援施策などに取り組んできた。
広島県知事の湯﨑英彦氏は、「スタートアップの支援や県外からの企業誘致などに取り組んできた結果、スタートアップ企業や関連する人材が集まってきた。後押しや成長の加速に必要なコミュニティが生まれつつある」と、最近の成果を説明。スマホで出品、購入できる水産市場「UUUO」を運営する、スタートアップ支援プログラム「J-Startup」選定企業のウーオや、ベンチャー企業への経営コンサル事業を営むサムライインキュベートなどを紹介した。
また、湯﨑氏は、「世界でどこにあるかと問われたときに、『広島です』と答えれば、それ以上の説明が要らない。国際的な課題の解決を目指す発進力につながる」と、ネームバリューの高さをアピールしつつ、「(広島では)バブル崩壊以降に急成長したダイソー、エフピコなど、ユニコーン的になった企業が多く生まれている。さらにさかのぼると、マツダ、洋服の青山などもある」と、世界的なブランドを生んできた土壌があると語る。
「ポストコロナの時代では、東京圏のみならず、各地域が多様な姿で発展していくことが必要不可欠。多様性の中からこそ新たな価値が生まれ、経済が循環する。地域と人々が輝き続け、日本全体の競争力向上につながる。ユニコーンのように急成長する企業は産業に刺激を与え、新たな価値の創出や、企業、人の集積につながるとともに、“次の挑戦の着火剤”にもなる」(湯﨑氏)と、各地域の成長とユニコーン企業の必要性を訴える。
10社という目標については、“2027年までに日本国内で100社のユニコーン企業創出を目指す”という日本経済団体連合会のビジョンを引き合いに出し、「100社のうちの10社だからシェア的にちょうどよい」と冗談交じりに語りながら、「社数に正解はないかもしれないが、イノベーションのエコシステムを構築するためには複数社必要。目標として設定した10社と既存産業が相互に刺激しあう産業構造を構築し、挑戦が当たり前の土壌を構築する」(湯﨑氏)と意欲を示した。
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