一方で、フードテックには大きく2つの課題があると田窪氏は言う。「一つは古くからあるフードテックに関する技術や生産業の価値が評価・認識されていないことだ。たとえば、がんもどきは植物性タンパク質を接種する元祖フードテックであり、県内企業のキシモトが10年前に開発した「骨まで食べられる干物」は、宇宙日本食にも認定されている。
こうした自社製品の開発技術が時代とどのようにマッチングしているか、フードテックとどう関わりがあるかに気づいてもらう活動が必要だ。もう一つは、IoTやロボットなど最新のフードテックに関する技術の不足だ。日本全体でも未成熟で、技術を売価に反映するのが難しく、技術のクオリティも不足している」
県内企業のこうした課題に対し、個々の事業者だけで取り組むのは難しい。そこで、フードテック振興に必要な要素として以下の6つを挙げ、対応に取り組んでいる。
現在進行中の支援策としては、2021年12月に設立した「Ehime Food Innovationコンソーシアム」がある。事業に取り組む参画会員と支援会員で構成され、後者には県、産業振興財団、商工団体、愛媛県産業協議会、大学等がそれぞれの強みを活かし、産官学一体でのフードテック企業支援に取り組んでいる。運営は県からえひめ産業振興財団に委託し、財団の既存事業である農商工連携、創業支援、人材支援などとの連携による効果も狙う。12月20日に実施した設立総会には、98の企業と団体から127名が参加し、順調なスタートを見せた。
活動としては3つのワーキンググループがあり、たとえば、フードテック商品開発ワーキンググループでは国の農林水産研究所の客員研究員でもあり、CNET Japan Live 2022にも登壇するスペックホルダー代表取締役の大野泰敬氏を協業パートナーに迎え、情報発信まで幅広く支援を行っている。この2カ月で県内の70の企業や団体にフードテックに関するヒアリングを行い、2022年度までの実行計画を作成している。
デジタルマーケティング活用ワーキンググループでは、メンバーズルーツカンパニーカンパニー社長の神尾武志氏を迎え、県内の20社を対象にウェブやSNS診断、データ分析による新商品開発支援などを行うなど、デジタルなどを活用した商品活用に力を入れている。人材育成・採用ワーキンググループでは、民間人材企業と連携し、フードテックに必要な人材のマッチングや人材育成を行う。
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