自動運転--2022年の最重要トレンドを追う

Brian Cooley (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年03月31日 16時12分

 2022年は、自動運転の歴史に残る重要な年となるだろう。完全な自律走行がついに実現するからではない。重要な技術を搭載した、さまざまなレベルの自動運転車がショールームにそろうからだ。2022年に注目したい主要なブランドとテクノロジーを紹介する。

 まずは運転における「自動(automation)」と「自律(autonomy)」の違いを理解することが重要だ。前者がドライバーの運転を支援するのに対して、後者はドライバーに代わって自動車を走らせる。この違いは重要であり、自動車工学分野において実質的な標準設定団体となっているSAEインターナショナルが定める自動運転レベルの定義にも反映されている。

Full Self Driving
提供:CNET

 車両の自律走行にとって、最高の存在とも最悪の存在とも言えるのがTeslaだ。この技術をめぐる熱狂も嫌悪も、その大半はTeslaという会社と関わっている。同社の「フルセルフ ドライビング(FSD)」技術の実態は、その名前とはほど遠い。FSDが有効だったとみられる車のドライバーに自動車運転過失致死罪が適用された初の事例も、Tesla車が起こした事故だった。米国では、Teslaのシステムの限界をドライバーが理解していなかったことによる事故が続いたことを機に、下院で公聴会が開かれた。Tesla車が停車中の緊急車両を認識できなかったことによる事故が頻発している原因についても、米連邦政府による調査が進んでいる。

 Teslaは、自動車の走行中にドライバーがダッシュボードでゲームを操作できる機能や、一定の条件を満たした場合は一時停止の標識を止まらずに通過するようプログラムされた機能の提供中止を余儀なくされた。最近は、勝手に急ブレーキがかかるという苦情も相次いでいる。Teslaの自動ブレーキ問題については米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)も懸念を示している。

 この騒ぎにもかかわらず、Teslaの最高経営責任者(CEO)Elon Musk氏は、レベル4に近い自動運転を年内に実現するために公道でのベータテストを継続する考えを示しているが、これはTeslaの技術と同じくらい、同社の強気な姿勢を伝えるものだ。もっともレベル4の自動運転が実現する可能性は、2020年にロボタクシーを実現するとしていたMusk氏の発言と同じくらい、ありそうもないことに思われる。レベル4は自律走行だ。自動車はドライバーの運転を支援するだけでなく、幅広い条件下や道路で自律的に走行でき、ドライバーはその間、ハンドルから手を放し、前方から目線を外し、別のことに注意を向けることができる。

SAE International
提供:SAE International

 2022年には、Mercedes-Benzが自動運転技術「DRIVE PILOT」を用いた初のレベル3車の量産を開始する見込みだ。レベル3では、ドライバーは運転をシステムに任せることができるが、システムが自動運転を継続できない状況を検知した場合、システムの要請に応じていつでも運転に戻らなければならない。DRIVE PILOTがドライバーに運転を要求する状況としては、自動車の走行速度が時速37マイル(約60km)に近づいたとき、自動運転車の走行が認められているドイツ国内の8200マイル(約1万3200km)の区間以外の道路を走行するとき、センサーが正しく動作しない可能性が高い環境条件をシステムが検出したときなどがある。この技術は米国ではまだ正式に承認されていないが、Mercedes-BenzのCEO、Ola Kallenius氏は年内の認証取得を目指している。

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