11月からスタートし、2~3カ月でスケジュールを組み、この間に7回程度のミーティングを実施。「電話やオンラインなどを使いながらミーティングを進め、実際にできること、できないことを明確にしていった。疑問点をメールするなど、困ったことを解決しやすい体制で、チームワークも良かった」と北村氏は振り返る。
2月中旬には、カミナシによるペーパーレス化を社内に告知し、3月1日にプロジェクトを本格スタート。2月初旬に実施したテストでは「非常にシンプルでわかりやすい。扱いもしやすく、現場のスタッフにもつかってもらいやすいツールになっていると思う」(北村氏)と期待を寄せる。
「導入する過程で印象深かったのは、項目を上から埋めていくような操作感がSmartHRのようだと言われたこと。チェック項目が上から並ぶことによって、入ったばかりのスタッフでも順に答えていくことでチェックが終わったり、画像で残す部分はスライドインして教えてくれたりする。わかりやすい例えを出していただくことで、こちらも対応しやすかった」(諸岡氏)と明確な事例を挙げたことで、意思の疎通がしやすかったという。
現在、ルートインが持つ電子化できる帳票類は約30万枚と予想される。北村氏は「このうちの半分、約15万枚の紙を3〜5月までの3カ月で減らしていきたい」と目標を据える。諸岡氏も「残りの15万枚をどう電子化するのか、その部分をしっかりと聞き取りしながら、30万枚の紙の一掃を目標に一緒に歩ませていただく。カミナシは現場DXをテーマにしているが、最初の段階からすべての紙をなくすというのはやはり難しくて、ステップを踏みながらやっていくことが大事。一緒に紙を減らす工程を作っていけるという観点からも、今後はパートナーとして支援していきたい」と新しい関係性を築く。
北村氏は「ホテル事業は現場があってこそなので、現場が第一という気持ちは何においても優先している。今回のペーパーレス化においても、現場の仕事をやりやすくするにはどうしたらいいか念頭においてはじめた。ただ、現場からペーパーレス化を推進するのは、日々の業務もあるし難しいと思う。だからこそ、私たち本部の人間が、黒子となって進めていく必要がある」と現場と本部の関係性を説明する。
社内の様子を見ていた諸岡氏は「北村さんはもちろん、ほかのメンバーの方も、ルートインの本部の方はみなさん現場の経験者。現場を理解した上で、業務を改善していくという姿勢が、現場の方の理解につながっている」とルートインのペーパーレス化推進の理由を明かす。
諸岡氏は「ペーパーレス化したいとしながらもうまく進まない会社も見てきた。その時、8〜9割の割合で言われるのが『これでは現場は使いこなせない』ということ。しかし、現在の日本ではスマートフォンを持っている割合が50代で96%にものぼる。あと5年もしたら60代におけるスマホ所有率も上がる。使いこなせないというのは幻想。そこを怖がらず一歩踏み出してほしい」と続ける。
約30万枚という紙帳票類を抱えるルートインのペーパーレス化は、現場と現場に理解の深い本部、そしてカミナシという現場改善プラットフォームを用いて、確実に進捗している。
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