ロシアによるウクライナ侵攻で高まる「スプリンターネット」の懸念 - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年03月09日 08時00分

国によって異なるインターネットルール

 多くの業界と同様に、政府による規制も国によって異なる。欧州と米カリフォルニア州は独自のプライバシー法を作った。中国はトップダウン型の政府による検閲を行っている。インドはTikTok、WeChat、Weiboなどの中国のアプリを遮断し、Donald Trump前米大統領はTikTokとWeChatを遮断しようとした。そして、ロシアは反体制派による投票支援アプリをGoogleとAppleのアプリストアから削除させた

 ロシアのウクライナ侵攻で、インターネットのルールは再び変わりつつある。偽情報などの問題に対する政府の行動と企業のポリシーの影響だ。

 ロシアの侵攻後、EUは「ロシア政府のメディアマシンをEUから排除する」と宣言し、Facebook、Microsoft、TikTokはロシア国営メディアRTおよびSputnikへのアクセスを制限した。

 こうした動きは、同様だが小規模な複数の行動に続くものだった。例えば、ロシアはFacebookへのアクセスと一部のユーザーがTwitterにアクセスすることを制限し、一方でFacebookとTwitterはロシア国営チャンネルの広告を制限した。Google傘下のYouTubeもロシア国営メディアの広告収入を減らし、これらのメディアの動画が推奨される可能性を減らしたと報じられた。

 ロシアの法律では、一定以上の規模の動画サービス企業には国営放送の配信が義務付けられているが、Netflixはウクライナ侵攻を理由にこれを拒否したと、The Wall Street Journalが報じた。米国の制裁により、一部のロシアの銀行の顧客は「Apple Pay」と「Google Pay」を使えなくなっている

 ウクライナのMykhailo Fedorov副首相は、さらなる措置を求めている。ロシアによるウクライナ侵攻の翌日である2月25日、同氏はAppleのCEOであるTim Cook氏に、ロシアでの製品およびサービスの販売停止と、ロシア人によるアプリストア利用の制限を呼び掛けた。Fedorov氏は「最新のテクノロジーはおそらく、戦車、多連装ロケットランチャー、ミサイルに対する最良の答えになる」とツイートし、Appleは同氏の要請の少なくとも一部を叶えた

より深い層でのインターネット分断

 インターネットの“配管”こそがグローバル性の鍵だ。DNS(Domain Name System)とBGP(Border Gateway Protocol)という2つの技術標準が、電話やPC、サーバー、ネットワーク機器の通信方法を管理している。DNSは、人間が理解できる名前を、データのルーティングに実際に使われる数値であるIP(Internet Protocol)アドレスに変換することを管理する。例えば、「wikipedia.org」を「208.80.154.224」に変換する。BGPは、1つのネットワークが接続している他のネットワークの名前をブロードキャストする。

 2021年10月にDNSとBGPに関連するコンフィグエラーが原因でFacebookが数時間ダウンしたことで、これらの標準の重要性が浮き彫りになった。

 DNSとBGPは、ロシアのインターネット主権法にも影響を与えている。ロシア政府はこの法律で、ロシア内のネットワークにおけるトラフィックの管理を強化している。

 インターネット標準をロシアへの攻撃に利用しようとする人々もいる。例えばRolling Stoneの報道によると、ウクライナ政府はロシアのインターネット接続を切断する方法を模索している。

 だが、インターネットは切断されたリンクを迂回するよう設計されており、ネットワークは地理的に定義されているわけではないので、一国のインターネット接続を切断することは困難だと、ISOCのSullivan氏は語る。

 専門家たちはこの考えに反対している。インターネットの切断は、ロシアの一般の人々がウクライナ侵攻について入手できる情報が、ロシア政府公式のものだけになってしまうことを意味するからだ。経済分析企業DeepMacroの共同創業者、Jim Cowie氏は「インターネットへの接続は、兵器として使われてはならない」とツイートした。

 ロシアをインターネットから切り離す作戦が、DNS操作に欠かせない2つの組織、RIPEとその監督者であるICANNの支持を得られる可能性は、関係者のコメントから判断しても低かった。

 RIPEの理事会は2月28日の声明で「コミュニケーションの手段が国内紛争、国際紛争、戦争の影響を受けるべきではない」とした。中立の立場を維持することは、RIPEが「権威あるものとして信頼され、偏見や政治的影響を受けないことを意味する。この方針を維持しなければ、われわれのサービス提供地域でインターネットを開発するための鍵となったモデルそのものが危険にさらされることになる」

 Sullivan氏は、基本的にどこかでインターネットを妨害すれば、世界中のすべての人にとってのインターネットの価値が損なわれるとして、「人間社会が良くなるのは、自分たちと大きく異なる人々ともつながることができるからだ」と述べた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]