パナソニックは、CTO傘下の事業開発室にBTCイノベーション室を新設し、新規事業の企画、創出、育成に取り組んでいる。3月3日、その取り組み内容や新たに生み出された新規事業などについて説明した。
BTCイノベーション室は、パナソニック執行役員CTOの小川立夫氏の下、2021年10月1日に設立した。パナソニック コーポレート戦略・技術部門 事業開発室BTCイノベーション室室長の中村雄志氏は「パナソニックの技術部門が知恵を出して新たな価値を世の中に実装していく組織」とその位置づけを話した。
現在、重点領域として、「ホームタウンDX」を定義した上で、スポーツチームとの共創型事業や新規事業のインキュベーションとして3つのプロダクト「CHEERPHONE(チアホン)」「ENY feedback(エニーフィードバック)」「Uttzs(ウツス)」を展開する。
CHEERPHONEは、スポーツチームとファンとをつなぐ音声のライブメディアプラットフォーム。スマートフォン1台で始められ、すでにガンバ大阪を含むさまざまなスポーツチーや団体へ提供しているという。ENY feedbackは、スポーツチーム向けの集客効果の測定ソリューションとして提供するもの。ID化がむずかしいライト層の声を収集し、ファン基盤の拡大に向けたマーケティング施策の効果検証~効果最大化に貢献していくという。チームのホームタウンにも設置ができ、ソーシャルヒートマップを作成し、チームと地域のエンゲージメントの見える化にも使える。
Uttzsは、展示会のオンラインアーカイブ・コミュニケーションツール。複数のユーザーへサービス提供をしながら、バーチャル展示空間でのコミュニケーションや購買も可能なプロダクトを目指す。メタバース関連のプロジェクトとして、新しい企画への可能性も検討中だ。
ホームタウンDXは、スポーツクラブをハブに、地域の関係会社や自治体、教育機関などとともに地域の課題解決していく取り組み。中村氏は「パナソニックとしてどんなお役立ちができるかチャレンジしていく領域」とする。
すでに、茨城県水戸市などをホームタウンとするサッカーチーム「水戸ホーリーホック」と地域課題の解決に取り組んでいるとのこと。ホームタウン活動を通じた事業拡大を目的とするマーケティングパートナーとして地域エコシステムへの貢献活動を拡大していく。
このほか、スポーツチームがハブとなりSDGsへの貢献を進めていく、スポーツ×サステナビリティのプロジェクトや、企画検討や協業検討などの第一段階として「具体的に何から始めていいかわからない」という困りごとに対して、共感から課題を定義して解決策を構築するデザインシンキングワークショップのサービスなども展開していくとのこと。
中村氏は「デザインシンキングワークショップは、取り組みをすすめるうちにやる必要が出てきたもの。何から始めていいのかわからない、手伝ってほしいというお声は多く、コンサルティングというよりもハンズオンのようなイメージ」と説明した。
10月からの取り組みを振り返り中村氏は「パナソニックならではの特徴を感じている。ボトムアップ的にこの活動を助け合うような風土が社内にある。こちらからお願いしていなくても、支援してもらったり、後押しされたりということがすごく起きている。これはパナソニックが過去にも多くのチャレンジをしてきたから。その恩恵を最大限に受けている。活動する中で、経営層とコミュニケーションを取ることも増えたが、本気が伝わってくる。もちろん現場のメンバーも本気で取り組んでいる」とコメントした。
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