こうした仮想通貨での資金調達を目の当たりにして、23歳のNFTトレーダーであるAndrew Wangさんは2月24日、14万人のフォロワーに向けて、ある考えをツイートした。資金調達のために、NFTコレクションを作ってみてはどうだろうか、という内容だった。
「私たちには、仮想通貨、コミュニティー、アート、スマートコントラクトといった、ありとあらゆるツールがある」。睡眠不足気味のWangさんは27日、「Zoom」で筆者に対して、そう語った(スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされたときに自動的に実行される契約のことで、ほとんどのNFT取引はスマートコントラクトを使用して行われる)。「仮想通貨を調達するだけではなく、アーティストを集めてスマートコントラクトを作成し、それを展開してイーサを調達してみてはどうだろうか」
それを受けて、Wangさんと5人の主催者および開発者、そして、NFTアートに貢献した37人のアーティストによるグループ「Reli3f」が誕生した。名称の3はWeb3に由来する。Web3とは、仮想通貨やNFTなどのブロックチェーンテクノロジーが深く組み込まれたインターネットを表す用語だ。このプロジェクトに貢献しているアーティストの多くはウクライナ人で、キエフの写真を提供したRaskalov氏も含まれる。WangさんはReli3fを実験的な取り組みとしているが、その説明に反して、Reli3fは瞬く間に成功を収めた。
Wangさんが24日にアイデアをツイートすると、興味を持った多くの人がすぐにグループチャットに集まった。約24時間後の25日夜までに、37人のアーティストが1点ずつ作品を提供することに同意した。25日の夜、それぞれ0.05イーサ(約1万7000円)のNFTを37点含むコレクションが200部販売された。コレクションはすぐに完売し、30秒で371イーサ(約1億2000万円)を調達した。27日の夜(筆者がWangさんと話をする前)、Wangさんとチームは、その資金を分配することにした。Reli3fは3つの組織にそれぞれ61イーサ(約2000万円)を送った。具体的には、軍事支援グループのCome Back Alive、ウクライナのメディア、Kyiv Independent publicationの監修を受けた地元メディア、そして、医療支援チャリティーのHospitallersの3組織だ。
We have just deployed 185 ETH to support the people of Ukraine. Here is the breakdown of where the funds are going, and our thought process behind the decision.
— RELI3F (@reli3fxyz) February 28, 2022
「われわれは、同じような取り組みをまた行う方法を模索しており、より大きな成果を上げられる方法を検討している」とWangさん。「今回やったのは実験だ。実験をすればするほど、コツがつかめてくるはずだ」
資金が分配された後、Reli3fは取引へのリンクを含むTwitterスレッドを作成し、正当性を検証できるようにした。チームが作成したスマートコントラクトも確認できるようになっている。Wangさんは、ブロックチェーンの持つ透明性が今後の慈善活動の改善に活用されることを望んでいる。
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