パイロットが挑戦する「ドローン」民間資格の取得(後編)--実技講習から取得まで

 空からの美しい広大な景色の撮影から荷物運搬、農薬散布などあらゆるシーンで活用されているドローン。筆者は2022年にドローンの民間資格を取得した。ここでは、資格の検討から実際に取得するまでの体験をお伝えしたい。前編に続く今回は、実際にドローンを屋外で飛ばした体験や実技試験、民間資格を取得するまでをまとめた。

実際に飛ばしてみたら難しかった3つのこと

(1)機体のパワーに戸惑う

 実際に実技の講習に入り、意外に思ったことが3つあった。まず一番に、機体のパワーが思ったよりあるのだ。実際に飛ばしながら感覚をつかむほかないのだが、当初はどの程度操縦のスティックを倒せばよいか理解できず、過剰に方向舵を入力してしまうことも多々あった。実際に自分が搭乗して操縦する飛行機や車と違って視覚情報が限られるため、機体の位置が自分から遠くなればなるほど微調整が難しい。これに関しては現在も練習中だが、少しずつ慣れてきた感じがする。

 固定翼航空機の講習を思い出すと、やはり初めて実機を操縦した時には加減が掴めず苦労した。ただ、ドローンと異なり、Microsoftの「Flight Simulator」や実際の操縦桿を模したUSBコントローラーなどを使って練習していたので、慣れるまではやや早かった。

 ドローンでもシミュレーターがあり、実際のプロポ(ドローンの操縦をするコントローラー)を模したコントローラーが付属するものもあるようだが、調べてみて初めて知ったくらいにポピュラーではないようだ。ドローンの場合、飛ばすコストが安価なことから、飛ばしながら慣れろというスタンスなのかもしれない。

(2)難しいコントローラーさばき

 ドローンの操縦で一番難しかったのが、プロポのコントローラーさばきだ。2基のジョイスティックが搭載されている形状は家庭用ゲーム機のコントローラーにも似ているが、感度は「ミリ単位で動かせ」と教わるほど敏感に反応する。

 この操作が鬼門だった。飛行機であれば、操縦桿やラダーとよばれる方向舵を操作した際に重力をおのずと感じる。自動車も同じだ。それゆえ体感的に操作量が分かりやすいのだが、ドローンの場合は自分の身体で感じることもないので、とても違和感があった。

(3)わずかな風に受ける影響

 座学でいくら勉強しても分からないことはたくさんある。「風」に関することもその一つだ。今回の実技で使用した機体はDJIの「Mavic Mini」という小型機で、重量が200g以下ということもあり、とにかく風にあおられた。

 実技は半開放状態の倉庫を借り、一角で行われた。実技は2日間あり、両日とも雪がちらつくほどの不安定な天候。無風のタイミングがほとんどなく、開け放ったドアからのわずかな風の影響をドローンが受けてしまうという状況だった。

 経験を積めば変わってくるとは思うのだが、自分の操縦ミスで機体が流転しているのか、はたまた風の影響なのか見極めるのが難しく、パニックに陥った。

 ドアを開け閉めする風でも体勢が不安定になり、その度に不慣れゆえに焦るの繰り返しで、とても悔しかった。

実技で習う代表的な基礎動作

 ここからは、実技でやったことから代表的な基礎動作を3つ紹介する。

(1)ドローンの離着陸操作

 基礎の基礎、ドローンの離着陸操作を一番最初に教わった。DJIの機種であれば、プロポのスティックを同時に下方向に入力することでプロペラが回転し起動する。右側のスティックは前後左右への移動、左側のスティックは上昇、下降、回転の操作に用いる。この操作方法は「モード2」と呼ばれ、世界標準の操作方法だ。日本ではラジコンヘリの操作方法に準拠した「モード1」もあり、こちらで教習するスクールもあるようだ。

インストラクターによる飛行前点検。プロペラなどの損傷を確認する
インストラクターによる飛行前点検。プロペラなどの損傷を確認する

(2)直線飛行

 次はいよいよ飛行だ。実技では、カラーコーンを置いた「コース」上を飛ばす。カラーコーンの直上をなぞるように、なるべく前後左右にズレないように飛ばすのだが、これが難しい。

直線飛行中の様子。カラーコーンを目標にして飛ばす
直線飛行中の様子。カラーコーンを目標にして飛ばす

 直線飛行は、カラーコーン上を直線に飛ばす。最初は機体の安全センサーを有効にした状態、いわゆる「Pモード」という標準状態でフライトした。このモードは安全センサーが障害物を感知すると停止するもっとも安全なモードだ。このモードはほぼフルオートみたいなもので、とりあえず飛ばそうとするなら簡単にフライトできる。


 難問はこの後だ。Pモードは比較的コツさえつかめれば誰でも飛ばせるが、手動操縦となるとそうはいかない。「前述のPモードがあるなら、手動は不要ではないか」という声もありそうだが、センサーが電波干渉や地形特性などで機能しなくなった際に、手動の操縦が必要になるのだ。この手動操縦のテクニックを教えてくれるので、ドローンスクールに通う真髄はここにあるといっても過言ではないだろう。

 この手動操縦は別名「ATTIモード」という。車にたとえるとマニュアル車の運転のようなものだ。つねに操縦者が操作をし続けないと風や気流の影響を受けて機体がフラフラとどこかに行ってしまうので、スティックから片時も手を離せない。指の微妙な震えも拾ってしまう繊細さで、方向入力の感覚もおぼつかないことも相まって、まっすぐ飛ばすという一見簡単そうな操作がとても困難だった。これ以降の実習過程では試験も含め、このモードを使うことになる。

(3)8の字飛行

 直線飛行の次は、カラーコーンを数字の「8」を描くようにフライトする「8の字飛行」だ。直線飛行が2個のカラーコーン上を直線で結ぶのに対し、8の字飛行はコース上のカラーコーンをすべて使い、ぐるっと周回する形で飛ばす。8の字飛行のミソは「きれいにコースをトレースすること」だ。直線飛行と異なり、カーブを描いて飛ぶことになるのだが、個人的にはこちらのほうが難易度が低いと感じた。


操縦で苦労した3つの原因

 操縦で苦労した原因は大きく3つあると考えている。まずは「プロポの操作に不慣れ」なこと。2つめは「目標物への距離感が掴めない」こと、3つめは「機首がどちらに向いているか判別するのが難しかった」ことだ。このあたりは個人のセンスに依存するところもあるが、終わってから冷静に考えるとそれなりの理由があるように思った。

朱色のカラーコーンからやや左にずれてしまっている
朱色のカラーコーンからやや左にずれてしまっている

 プロポの操作が不慣れという点は経験不足ということに尽きるだろう。問題は2つ目以降だ。目標物への距離感が掴めないことに関しては、ドローンが自分から遠くに行くにつれて発生するものだった。操縦補助者と呼ばれるアシスタント役がいて「右、左」と駐車誘導のように声かけをしてくれるのだが、操縦者(自分)がこの辺だろうと思ってドローンを空中静止させると1mほどずれていることが多発した。これの原因は、自分の立ち位置によって見え方が変わることに対する理解不足が大きかった。機首がどちらに向いているか判別するのが難しかったことに関しては、カメラを使用して操縦するうちに感覚が掴めてきた。最初は半分パニックになりながら逆方向に操舵することもあったが、これも飛ばしているうちにミスが減った。いま思えば不必要にビクビクしながら飛ばしていたのかもしれない。

 練習を重ねているうちに、ちょっとしたスランプに陥ってしまった。ミスを連発してしまったことで「怖い」と感じてしまったのだ。何回か周辺にある物にぶつけてしまったこともあり、「安全に飛ばさないといけない」という自身の気持ちと葛藤し、楽しむ気持ちよりも、焦りと怖さが出てきてしまった。心境としては、車を運転しているときに車体を擦ってしまったときと近い。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]