練習の項目を一通りこなし、10時間の練習時間を終えるといよいよ試験だ。試験はいままでしてきた直線飛行、8の字飛行などの飛行形態に加え、機体に搭載されているカメラの操作も行う。試験で重視されることは「正確さ」と「スピード」の2点。決められた制限時間内で、ドローンの電源投入と確認、周囲の安全確保から飛行終了、ドローンの電源オフまでをするのが試験なのだが、試験だからといって特別な動作をするわけではない。
インストラクター曰く「ていねいに、指定通りにドローンを飛ばすことが大切」といい、100点中80点以上で試験合格となる。つまり、多少のコースアウトなどのミスは許されるのだ。制限時間に関しても、よほどゆっくりフライトしてもタイムアップにはならない時間だった。
1回目の試験は、飛行終了後の電源オフを忘れてしまい、数点が足りずに不合格となった。前述のミスで動揺したことが影響したのではないかと思っている。2回目の試験では無事に合格できたが、悔しさから帰京してからも自宅で練習を重ねている。
総フライト時間は10時間。時間数からもお分かりかと思うが「まだまだ」な経験値なのだ。合格した瞬間に「ここからがスタートだ」と感じた。
筆者の住む東京のエリアは、なかなか練習に好適とは言い難い場所だ。幸いなことに実家が一軒家で庭があることから、自宅の敷地内で少し高度を上げて飛行したり、自室内でホバリングなど移動量の少ない練習をしたりしている。機体に関しては購入せずにサブスクリプションでレンタルし、出費を抑えた。
都内には、ドローンの練習ができる「ドローンフィールド」と呼ばれる場所がいくつかあるが、郊外がメインなうえ、料金もそれなりにかかる。一度経験として訪れてみようと予約を試みたが、土日は予約で埋まっているようだった。ならば、自宅で飛ばしてしまおうと考えた次第だ。
ただ、自宅が賃貸の人にはお勧めできない。ドローンが壁に接触した場合は、高確率で壁にキズがつくし、飛行中の騒音がなかなか大きいのだ。
ドローンの民間資格を取得したら、ドローンを使って報酬を得たいと考える人もいるだろう。
結論から申し上げると「すぐに訓練費用を回収できるだけの費用は稼げない」との話を複数の講師から聞いた。ただ、YouTuberなどの配信者で、広告収入や投げ銭などがあれば話は別だろう。少なくとも、職業としてのドローンパイロットで稼げるようになるには、相応の飛行時間と経験が必要になるようだ。
費用対効果としては正直良くないとの声も多いが、個人的には「ドローンについて知識と経験を深める」という体験に費やす費用としては納得している。
ドローンパイロットは、ヘリコプターや飛行機のように職業として確立されているという域までは行っていないものの、一部では相当の報酬を貰っている人もいるようだ。職種としての成立は今後、といった印象があるが、法改正による国家資格化後に変わるのではないかと思われる。
今回の資格取得で学んだものは多かった。スキルアップも兼ねて他団体の資格取得に挑戦している。申し込み時に抱いていた「実証実験に参加できる技量」が身につくのはもう少し先になりそうだが、いつの日か目標を達成したらまたレポートをお届けしたい。
※【お詫びと訂正】(2022年4月14日)
今後、国家資格としてのドローン操縦免許(ライセンス)制度が開始することを踏まえ、「ライセンス」の表記を「民間資格」と訂正いたしました。誤解を招く表現があったことを、訂正してお詫び申し上げます。
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