LiDARを使えば、3Dオブジェクトと部屋をメッシュ化し、その上に写真画像を重ねることもできる。「フォトグラメトリー」と呼ばれるテクニックだ。これはキャプチャーテクノロジーの次の波を生み出し、リフォームなどの実用的な用途や、ソーシャルメディアやジャーナリズムにも活用されるようになるかもしれない。3Dデータをキャプチャーし、その情報を他者と共有できるようになれば、LiDARを搭載したスマートフォンやタブレットが3Dコンテンツのキャプチャツールとなる可能性が開ける。また、LiDARはカメラがなくてもオブジェクトや空間を測定できる。
私は以前、iPhone 12 Proで初期のLiDAR対応3Dスキャンアプリ「3D Scanner App」「Lidar Scanner」「Record3D」を試したことがあるが、結果はまちまちだった。しかし、これらのアプリを使えば驚くほどの速さでオブジェクトをスキャンし、部屋をマッピングできる。LiDARがスキャン可能な範囲は16フィート(5m弱)なので、私の家であれば、ほとんどの部屋をカバーできるが、広い屋外空間の場合は動き回る必要があるだろう。前述したように、iPhoneの前面に搭載されたTrueDepthカメラは、スキャンできる範囲は狭いものの、すでに同様のことができる。いずれAppleのカメラアプリに3Dスキャン機能が組み込まれ、3D技術が花形の機能になる日が来るかもしれない。しかし今のところ3Dスキャンは、性能が向上しているとはいえ、多くの人にとってはニッチな機能すぎない。
Googleの初期のARプラットフォーム「Project Tango」も、同じような発想から生まれた技術だったが、2台のスマートフォンに搭載されただけで消えてしまった。進化したカメラ部分には赤外線センサーも搭載され、部屋をマッピングしてAR用の3Dスキャンや深度マップを作成したり、室内の空間を測定したりすることができた。Tangoを採用したスマートフォンは短命に終わり、特殊なハードウェアを搭載しなくてもスマホカメラで深度を推測できるコンピューター・ビジョン・アルゴリズムに取って代わられた。しかし、今回は違う。LiDARはすでに自動車、ARヘッドセット、ロボット工学など、さまざまな分野で活用されており、その用途はさらに広がるとみられている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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