--他の医療分野でもAIの採用が進んでいます。医療エコシステム全体で、医用画像による診断にAIがどのように使われているか、概要を教えてください。
歯科以外の医療分野では、放射線診断だけでなく、インテーク、トリアージ、生体医学診断、予測診断など、広範囲にAIテクノロジーが採用されています。医用画像のAIによる分析について具体的に話しましょう。
過去15年以上の間に、何千もの放射線画像解析AIシステムが開発されました。ほとんどのシステムは研究機関によるもので、すべてが有用だったわけではありません。役立ちそうなシステムの多くは機能的に重複していました(たとえば、同じタスクでほぼ同じ成果になるなど)。また、それらの効果的で斬新なシステムのすべてが規制上および商業的なハードルを越えて現実世界で実用化されたわけではありません。
現在、AI採用である程度実用的な、米食品医品局(FDA)が認可した医療機器は約350種あります。その大部分が医用画像の分析に関連するものです。ほとんどの機器は、解剖学的セグメンテーションなどの反復的なタスクの自動化に役立ちます。
一方、AI採用のイメージングシステムには診断機能を実行するものも多数あります。腫瘍学、神経学、心臓病学、眼科など、用途は何であれ、こうした機器は、特定のタイプの医用画像に見られる特定の身体の特定の部分の特定の状態を検出するなど、非常に限られた特定の機能を実行します。そのため、患者が診察中にAIシステムに遭遇する可能性は非常に低いのです。
AI技術がより強力かつ一般的になれば状況は変わるでしょうが、一般の人々が最初に医療用AIに遭遇するのが歯科医院になることはほぼ確実です。他の病院よりも歯科医院に通うことが多いからでもありますが、われわれが歯の全体的な配列を検出するための有用なシステムを開発できたからでもあります。
--特定の方法による診断に慣れている可能性のある歯科医は、御社の技術をどのように受け入れたのでしょうか?
われわれの技術を採用している歯科医の反応は、非常に肯定的です。もっとも、アーリーアダプターはAIに好意的である可能性が高いため、これは想定内です。確かに懐疑的な歯科医もいます。疑念を晴らすためには、教育が必要です。懐疑論者でも、一度技術を手にし、AIにできることとできないことについて学べば、AIが自分の仕事にとっての脅威ではなく、より高レベルな仕事を実行できるようにする強力なツールであることに気づくでしょう。歯科におけるAIリテラシーが高まるにつれてシステムの採用が急拡大し、AI診断への抵抗がなくなっていくと期待しています。
既にその徴候はあります。PearlはリアルタイムX線診断システム「Second Opinion」を欧州、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどで販売しており、AI臨床管理ソリューション「Practice Intelligence」は国内外の何千もの診療所で使われています。これらの製品は本当に革新的で、今後も世界の多くの地域の規制当局の承認が得られると思います。そうすれば、歯科医はAIを受け入れる準備ができ、技術を日常業務にすぐに組み込めるでしょう。
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