私の妻は女子サッカーリーグに参加している。試合は接戦になることも多いので、リーグが試合ごとに審判を2人用意してくれることはありがたい(イエローカードを持つ審判の存在は、妻にとってはありがたくないかもしれないが)。
しかし、未来のMia Hamm(伝説的な女子サッカー選手)たちがみな、このような幸運に恵まれるわけではない。アマチュアサッカー、特にユースチームの試合では、深刻な審判不足が起きている。コロナの影響に加えて、頭に血の上った親が怒りにまかせて審判を攻撃する事例が多発していることも一因だ。さらに審判というポジションは報酬が少ない傾向があり、多くの審判たちがうんざりして辞めていく。しかし競技スポーツには中立的な判断が欠かせない以上、審判がいなければサッカーの試合は成立しない。
人工知能(AI)は最後の希望となるのだろうか。
この問題を解決する技術を持っていると自負するのが、ソフトウェアスタートアップのCoCoPIEだ。同社は既製のモバイル端末にAI機能を後付けするソフトウェアを開発している。CoCoPIEは最近、Cognizantとの提携を発表し、高解像度の画像や動画を作成し、エンドユーザーのマルチメディア視聴体験を向上させる超解像ソリューションに共同で取り組むと発表した。この新たなパートナーシップの一環として、両社は高度なディープニューラルネットワーク(DNN)ベースのソリューションを構築し、リアルタイムの画像処理の実現に取り組む予定だ。この技術は消費者向けのデバイスにも応用できるため、実社会にも興味深い影響を与える可能性がある。
CoCoPIEのAIを応用すれば、現在のアマチュアサッカーの審判不足を緩和できるかもしれない。スライディングタックルがフェアプレーかどうかを判断するのは難しいかもしれないが、スマートフォンを使ったアウト・オブ・バウンズやオフサイドの判定にはうってつけの技術となるかもしれない。スマートフォンが審判の役割を果たすようになれば、人間の審判は自動判定できないファウルに専念できる。エッジAIを第2の審判とすることで、人間の審判の数が足りなくても、クラウドへの接続が制限されている環境でも、試合を継続できるようになるかもしれない。複数の試合でルールを同時に適用することもできる。
「CoCoPIEと提携することで、モバイル端末やエッジデバイスでの顧客体験をさらに強化できる」と、Cognizant Worldwideのコミュニケーションメディア技術担当副ディレクターのJames Rowley氏は言う。「CoCoPIEの先進的なAIソフトウェア技術を活用すれば、高い精度を維持しながらビデオストリームのリアルタイム処理を実現し、お客様に飛躍的なパフォーマンス向上と精細な画像・映像を提供できるようになる」
重要なのは、CoCoPIEの技術によって、これまではサーバーや専用のAIアクセラレーターがなければ実現できなかったリアルタイムのライブAI機能を、スマートフォンでも利用できるようになることだ。
「CoCoPIE独自の圧縮コンパイル協調設計技術を利用すれば、AIモデルを最適化すると同時に、コンパイラーレベルでの自動コード生成も最適化できるようになる」と同社は述べる。
テクノロジーは、あらゆるレベルのサッカーでますます重要な役割を担うようになっている。例えば国際サッカー連盟(FIFA)は、ボールがゴールラインを越えたかを判定する「ゴールラインテクノロジー」や半自動のオフサイド判定技術を採用した。スマートフォンを活用することで、アマチュアの試合でも遠からず、同じような機能を利用できるようになかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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