テクノロジーが家庭内暴力の武器に--身を守る方法は? - (page 2)

Charlie Osborne (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2022年01月31日 07時30分

トラッカーデバイスによる追跡

 Appleの「AirTag」や、「Tile」などのトラッカーデバイスは、日常生活を便利にする目的で作られたものだ。鍵をなくしても問題はない。小さなトラッカーを鳴らせば、置き忘れた鍵のありかが分かるだろう。

 だが、これらの革新的な製品が、搾取と虐待の新たな手段になっている。

 トラッカーはサイズが小さく安価なので、他人のバッグに押し込んだり、コートの裏地に縫い付けたり、車の中に隠したり貼り付けたりできる。こうすれば、本人に気付かれずに追跡できる。

 RedditやTikTokなどのSNSでは、トラッカーで追跡された話や、車の盗難のためのツールとして使われた話を複数の人々が報告している。「未知のアクセサリーが見つかりました」という警告についての報告もある。これは、AirTag以外の製品に関連している可能性がある。

 Emm氏によると、トラッカーはマイナス面も特定されている問題解決技術の一例だという。

 「セキュリティの側面は遡及的に扱われがちだ。トラッカーの機能を開発した際に、セキュリティの問題は想定しなかったのだろう」(同氏)

ストーカーウェア対策連合

 「Coalition Against Stalkerware」は、テクノロジーが家庭内暴力の助長に利用されるという問題に取り組む企業連合で、Kaspersky、電子フロンティア財団(EFF)、Malwarebytes、Avira、Tor Project、F-Secureなどが加盟している。

 連合の最近のプロジェクトの1つ「TinyCheck」は、ストーカーウェアを抑える手段として、国際警察(Interpol)などからの関心が高まっているとEmm氏は語った。

 TinyCheckは、法執行機関およびセキュリティ企業向けの、分析のためにネットワークアクティビティーを記録するオープンソースの取り組みだ。TinyCheckを使うと、ストーカーウェアがインストールされているデバイスの発信接続やアクティビティーのログを、インストールした相手に気づかれずに作成できる。これにより、相手を訴える際に必要なデータを記録できる可能性がある。

デジタルストーカーと戦う方法

 TinyCheckは一般ユーザー向けではない。では、ストーキングされているかもしれないとき、どうすべきだろうか。

 スマートフォンの場合、まずチェックすべきはアプリ一覧だ。インストールした覚えのないアプリはないだろうか。だが、もしあったとしても、あわてて削除すべきではない。削除されたことに攻撃者が気づけば、あなたを危険にさらすことになるだけではなく、法執行機関が相手を起訴するために必要な虐待の証拠を失うことにもなるからだ。

 可能であれば、盗聴されたくない会話のための安いスマートフォンを持つといいだろう。最も重要なのは、地方自治体や家庭内暴力相談センターに助けと支援を求めることだ。

 Coalition Against Stalkerwareによる、より詳しいアドバイスはこちら(英文)だ。

 トラッカーの場合は扱いがさらに難しい。プライバシーの懸念の高まりを受け、Tileは間もなく、周囲にトラッカーがあるかどうかチェックする機能をTileアプリに追加する予定だ。トラッカーを持っていなくても、このアプリを使えばトラッカーを検知できる。だが、このアプリが出るまでは、Tileを見つけるのは難しい。

 「Tileは、ユーザーの安全性を強化するこの機能の開発について、支持団体の意見を引き続き求めていく。また、被害者がストーキングされている疑いがある場合に安全を保つ方法に関する情報を被害者に提供していく」とTileは述べた。

 Appleは、同社の「探す」ネットワークに対応するAndroidアプリ「Tracker Detect」をリリースした。このアプリで、ローカルのBluetoothスキャンを実行し、トラッカーを探すことができる。

 AirTagは、連携させたiPhoneと一定時間(8~24時間)離れるとアラートが鳴り、iOS 14.5以上搭載のiOSデバイスのユーザーは、近くにAirTagがあるという通知を受ける。もしそのAirTagが誰かが紛失したものではなく、自分を追跡するためのものだと確信するなら、(安全にできる場合は)バッテリーを外そう。だが、トラッカーを投げ捨てるのはやめよう。Appleと法執行機関がトラッカーとそのシリアル番号を使って持ち主を追い詰められるかもしれない。Apple IDに接続されていないトラッカーを無効にすることもできるようになった。

 Appleは、こうした状況に対処する方法をサポートページで提供している。

 AirTagと「探す」ネットワークには、迷惑な追跡を防止する仕組みもあります。知らないうちに追跡されることのないように、自分のものではないAirTagや「探す」ネットワーク対応アクセサリをしばらく持ち歩いていることがわかると、「探す」が教えてくれます。

 AirTagが持ち主から長時間離れたままになっていると、動いたときにAirTagで音が鳴り始めるので、iOSデバイスを持っていない人でも見つけることができます。

 Emm氏は、最善の解決策は教育だという。

 「人々はもっと知識を身に着ける必要がある。われわれは皆、こうしたモバイルデバイスがいかに重要か、従ってそれらを守ることがいかに重要かを認識する必要がある」(同氏)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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