2022年が始まって間もないにもかかわらず、スマートフォンの新機種が続々と登場している。サムスンはCES 2022で「Galaxy S21 FE 5G」を発表。OnePlusは「OnePlus 10 Pro」の新機能やCPUの詳細を明らかにして、私たちを大いにじらした。
この1年間、スマートフォン界隈では「Galaxy S21 Ultra」「Galaxy Z Flip3」「ASUS ROG Phone 5」「iPhone 13」シリーズなど、旧機種の問題点を改良した新機種が市場を賑わせた。5Gに対応したものもあれば、高リフレッシュレートのディスプレイを採用したもの、新しいセンサーやモード、ソフトウェアを搭載してカメラ機能を強化したものもあった。
2021年、OnePlusとGoogleは例年とは異なる戦略をとった。旧機種の改良にとどまらない、進化の方向性を示すような新モデルを投入したのだ。OnePlusはカメラメーカーのHasselbladと組み、「OnePlus 9 Pro」を皮切りに、スマートフォンの写真性能を一新した。Googleは「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」に初の独自開発チップを搭載し、設計を全面的に刷新した。
そして今、私が知りたいのは2022年のスマートフォンの展望だ。2022年のスマートフォンはどこまで賢くなるのか。ポケットに入るほど小さいこのデバイスは、どこまで便利で、強力で、気の利いたものになっていくのか。
そのヒントを求めて、Google、OnePlus、Motorola、ASUSに2022年のスマートフォンについて展望を聞いた。各社との対話から浮かび上がってきたテーマが3つある。「機械学習と人工知能(AI)」「アクセシビリティー」そして「ニッチデバイス」だ。
「Android」端末か「iOS」端末かを問わず、現在のスマートフォンは機械学習やAIを使って機能やユーザー体験を向上させている。その好例がスマホカメラに搭載されたナイトモードだ。暗い場所でナイトモードを使うと明るい写真を撮影できる。仕組みはこうだ。さまざまな露出で撮影した複数の画像を1枚の写真に合成し、より明るく、シャープで、ノイズの少ない写真に仕上げ、その後でAIが色のバランスを整える。こうした処理は一瞬、せいぜい数秒で行われる。AIや機械学習がなければ、まず不可能な芸当だ。
2022年は、AIや機械学習がこれまでよりもさりげなく、例えばプライバシーの強化といった目的のために使われるようになるだろう。GoogleのグループプロダクトマネージャーCharmaine D'SIlva氏は、今後は機械学習がAndroidの肝になると語る。例えば「Android 12」に実装された「Private Compute Core」は、Googleがプライバシーとセキュリティの基準を守りながら、機械学習を利用してイノベーションを起こすのに役立っているという。
「Private Compute Coreは、デバイスに保存された個人情報を保護しながら、『スマートリプライ』『この曲なに?』『自動字幕起こし』といった機能を実現する」とD'Silva氏は述べる。「例えばスマートリプライをタップするまで、返信内容はキーボードからも入力中のアプリからも見えない」
機械学習はスマートフォンをインテリジェント化し、その性能を向上させる。手頃な価格帯のスマートフォンには通常、高速なプロセッサーや大容量のRAMは積まれていない。しかし機械学習を利用すれば、従来ならハイエンドチップを搭載した高額なスマートフォンでしか利用できなかった先進的な機能の多くを、廉価な機種でも利用できるようになる。Googleは機械学習を利用して、50ドル以下で販売されているAndroid(Go Edition)端末にハイエンドのAndroid 12に似た機能を持たせている。
「例えば、Android(Go Edition)端末のカメラはHDR撮影やライブ翻訳にも対応している」と、Googleのソフトウェア・エンジニアリング・ディレクターのNosh Minwalla氏は言う。「最低限のリソースで動作するように機械学習ライブラリーを最適化した結果だ。今後も、Android(Go Edition)端末のインテリジェント化の流れは続くだろう」
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