「ゲーミングフォンは、ユーザーのゲーム習慣に基づいてリソースの割当てを最適化することで、あらゆる面でゲーム体験を格上げする」とZhang氏は言う。
ニッチなスマートフォンのもう1つの好例が、続々と登場する折りたたみ式のスマートフォンだ。折りたたみスマートフォンがブームになった、と言う人もいるが、実際には半分に折りたためるスマートフォンや、その機能を活用したソフトウェアの開発は始まったばかりだ。
私は、2021年は折りたたみスマートフォンの年になると考えていたが、新型コロナウイルス危機や世界規模のサプライチェーンの逼迫により、予想していたほどの盛り上がりは見られなかった。私はMotorolaが提供するポッドキャスト「MotoTalks」で、同社のプロダクトゼネラルマネージャーのJeff Snow氏、北米事業開発担当エグゼクティブディレクターのDoug Michau氏に折りたたみスマートフォンの今後について話を聞いた。
「Razrは爆売れするようなモデルではない。それは承知の上で発売を決めた。このモデルの標的はニッチ市場、つまりポケットに入る小さなデバイスを求める層だからだ」とSnow氏は言う。
折りたたみスマートフォンのために開発された技術はいずれ、他の一般的なデバイスにも応用されるようになるだろう。ゲーミングフォンの世界では、すでにこうした動きが見られる。例えば高リフレッシュレートのディスプレイを初めて搭載したスマートフォンはゲーミングフォンだが、現在では価格帯を問わず、ほぼすべての新型スマートフォンに高リフレッシュレートのディスプレイが搭載されている。
ソフトウェアもニッチ化している。もっとも、ニッチ化の方向性は二極化しており、1つはAIを使ってバッテリーの持ちを改善したり、ディスプレイのリフレッシュレートを制御したりするもの、もう1つは、そうした設定をユーザー自身が細かく制御するというものだ。例えば、ASUSが製造するゲーミングフォン「ROG」シリーズは、ユーザーが設定を好きなように変えられるソフトウェアスイート「Armoury Crate」を搭載する。
「『とにかく自分の好きなようにやらせてくれ。スマート設定はいらない』というニッチなユーザーもいる」と指摘するのは、ASUSのスマートフォン部門でテリトリーマーケティングマネージャーを務めるChih-Hao Kung氏だ。「こうしたニーズに対してはArmoury Crateが威力を発揮する。逆に、設定はぜんぶお任せにしたいというユーザーの場合は、デバイスがダイナミックチューニングを行う。ユーザーは何もせず、ソフトウェアを実行するだけでいい。しかしすべてを変えたいなら、それもできる、ということだ」
2022年には、さらに高度なカスタマイズ性を備えたニッチなスマートフォンが登場するだろう。
スマートフォンは1990年代後半から存在するが、現在私たちが使っている基本的なデザインは主に2007年のiPhoneに基づいている。これは15年前のことだ。2022年にはスマートフォンがよりスマートになるのにともない、私たちの「スマートな」世界の中心になりつつあることも認識しておくといいだろう。スマートホームや車載テクノロジーはスマートフォンに依存している。この状況が近いうちに変わることはない。2022年には、スマートフォンと距離を置くことがますます難しくなるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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