三菱電機は、衛星測位用の4周波数帯に対応するものとして「世界最小」のアンテナを開発した。
このアンテナは、衛星測位で使われる信号のL1帯(1560MHz~1591MHz)、L2帯(1213MHz~1244MHz)、L5帯(1164MHz~1189MHz)、L6帯(1257MHz~1299MHz)という4周波数帯に対応する。筐体サイズは、水平面が59×59mm、高さが33mmで、世界最小だそうだ。
小型化するにあたり、筐体の天面と4つある側面に折り曲げ線状アンテナ素子を配線し、立体化している。信号受信にはアンテナの水平面を広くする方が有利なのだが、この立体化技術により、小さな水平面でも良好な受信が可能になったという。
アンテナ形状は限られた占有空間のなかで最適化し、同社の従来品に比べL1帯の対応帯域を約3倍に拡大。そして、未対応だったGLONASS衛星やINMARSAT衛星を使う測位も利用可能とした。
さらに、直線状とループ状のアンテナ素子それぞれの放射波を合成させ、アンテナ背面方向へのバックローブ放射を低減するアンテナ構造を開発。こうして地面から反射するマルチパス波をアンテナ大型化なしで抑制し、測位精度の劣化を抑えている。
周波数帯域を拡大したことで、世界の主な衛星測位システムと測位補強サービスへの対応が可能になった。また、高精度の衛星測位用アンテナは直径100mm以上のものが多いのに対し、同アンテナは小さいため、農業用の小型トラクターやドローンといった移動体にも搭載でき、応用範囲が広がるとしている。
今後は、屋外の実証実験で測位精度を評価していき、実用化を検討する。
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