フードテック2021年振り返り--プラントベースフード、ゲノム編集食品からスマートキッチン家電まで

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 2020年初頭に発生した新型コロナウイルス禍が終息の兆しを見せないまま2022年を迎えようとしているが、日本国内でこの2年間に大きな注目を集めたことのひとつが「フードテック」だ。

 テレビでは、ニュースや情報番組だけでなく、バラエティ番組などでも「SDGs(持続可能な開発目標)」というキーワードが普通に出てくるようになっており、食料問題解決の一端を担う「代替肉」などのプラントベースフード(植物性食品)や、「昆虫食」といったキーワードを目や耳にした人は多かったのではないだろうか。本稿では、2020年に盛り上がり始め、さらに飛躍した2021年のフードテックを振り返ってみたい。

代替肉から卵や水産加工品まで広がったプラントベースフード

 2020年に大きく盛り上がったのが、植物性タンパクを原料にした「代替肉」だろう。2015年から植物肉「ソイパティ」商品を選べるようにしていたモスバーガーを皮切りに、ロッテリア、フレッシュネスバーガー、バーガーキングなど、2020年に大手ハンバーガーチェーンに代替肉パティ採用が一気に広がり、大きな話題となった。

モスバーガーの2021年新製品「グリーンバーガー<テリヤキ>」
モスバーガーの2021年新製品「グリーンバーガー<テリヤキ>」

 牛肉や豚肉、鶏肉の味に近付けたミンチタイプだけでなく、「NEXTカルビ」や「NEXTハラミ」などをラインアップするネクストミーツの「NEXT焼肉シリーズ」、餃子やハンバーグ、唐揚げ、ツナなどをラインアップするDAIZの「ミラクルミート」なども登場した。

 さらに大豆を主原料にしたフジッコのお米状の食品「ダイズライス」、豆乳などを原材料にしたキユーピーのスクランブルエッグ風代替卵「HOBOTAMA(ほぼたま)」など、植物性タンパクによって再現する食品の幅が広がってきたのも大きな特徴だ。

ネクストミーツの大豆を主原料とした100%植物性のカルビ風加工食品「NEXTカルビ2.0」。食感と見た目を改良し、カルビらしいサイズ感へ
ネクストミーツの大豆を主原料とした100%植物性のカルビ風加工食品「NEXTカルビ2.0」。食感と見た目を改良し、カルビらしいサイズ感へ

 代替ミルクに関しても、昔から豆乳が国内市場で浸透しているが、最近ではアーモンドミルクやオーツミルクなどの代替ミルクや、それをベースにした代替ヨーグルトなどがスーパーやコンビニエンスストアの店頭に当たり前のように並ぶようになってきた。さらにはプラントベースドチーズやプラントベースドバターなども増えてきている。

 あづまフーズはこんにゃく粉をベースにマグロやイカ、サーモンの刺身を模した「グリーンサーフ」シリーズの販売を開始し、DAIZの「ミラクルミートのツナ」、ネクストミーツの「NEXTツナ」、不二製油が開発した「ソイウニ」など、プラントベースの水産物加工品も数々登場している。

 パソナグループとカゴメ、不二製油グループ本社は2021年3月に植物性食品の普及・啓発などを目的とした「Plant Based Lifestyle Lab」を設立するといった動きも出ている。2020年は「代替肉元年」といった感じだったが、2021年は「プラントベースフード元年」といってもいいのではないだろうか。

GABA増量トマトや可食部増量マダイなど、ゲノム編集食品が登場

 フードテック関連でかなり大きなニュースになったのが「ゲノム編集食品」の登場だろう。ゲノム編集食品とはDNAを切断する人工酵素を用いてゲノム(DNAの全情報)の一部農林水産省フードテック研究会DNAに突然変異を起こさせた食品のこと。あくまでも特定の機能を持つ一部のDNAの作用を働かせないようにするなどの突然変異を人工的に起こしたもので、ほかの生物から取り出した遺伝子をゲノムに組み込む遺伝子組み換え技術とは異なる。

 2019年9月に定められた「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領(PDF)」(2020年12月に改正)によって、自然変異をベースにした従来の育種技術と同等のリスクにとどまるものであれば届出・公表のみで安全性審査が不要(ただし厚生労働省に対する事前相談は必須)ということになり、市場導入へのハードルが一気に下がった。

 こうした背景から、2021年5月から筑波大学発スタートアップのサナテックシードが日本初のゲノム編集食品である「GABA高蓄積トマト「シシリアンルージュ ハイギャバ」の家庭菜園モニターを開始し、9月には一般販売もスタートした。これは血圧上昇の抑制やストレス緩和効果を持つGABA(γ-アミノ酪酸)をゲノム編集によってアップさせたものだ。

 2021年9月には京都大学・近畿大学などの技術シーズをコアに設立されたスタートアップのリージョナルフィッシュが、可食部が約1.2倍(最大1.6倍)にアップした可食部増量マダイ「22世紀鯛」を厚生労働省と農林水産省に届出し、クラウドファンディングでの販売)を開始。同社はさらに、ゲノム編集技術を利用して開発した高成長トラフグ「22世紀ふぐ」を10月に届出し、京都府宮津市のふるさと納税返礼品として提供を開始した。

 遺伝子組み換え技術については「得体の知れないもの」として忌避感を強く持つ人が一定数いることは想像に難くない。しかし外来の遺伝子を取りこむことのないゲノム編集技術については、前出の通り自然界における突然変異や、突然変異をベースにした人工的な品種改良とリスクが同等となっている。そういった情報を正しく啓蒙する活動は必要になるだろうが、今後こうした食品が増えていくことは大いに期待できる。

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