東京海上日動火災保険、NTTデータ、スタンデージ、トレードワルツの4社は12月27日、電子船荷証券とデジタル通貨や暗号資産を同時に交換する新たな貿易決済の実証実験を実施したと発表した。実証実験では、ブロックチェーン技術を活用し、貿易プラットフォームで電子化された有価証券の一種である「船荷証券」と、デジタル通貨や暗号資産の同時交換が可能と確認されたという。
従来、貨物と代金を交換する貿易取引では、貨物の代わりとして船荷証券(B/L)と代金が交換されてきたという。B/Lは、運送人から貨物の引渡しを受ける権利である運送品引渡請求権を示すとともに、貨物の所有権も示す有価証券の一種。
このB/Lを用いた貿易取引では、海外取引の場合、輸出者と輸入者の物理的距離があるため、B/Lと代金を同時に交換できず、いずれかの債務不履行のリスクが生じることで、銀行や保険、ファクタリングなどのリスクヘッジによる追加コストが発生していた。
今回の実証実験では、債務不履行のリスクを回避できる「電子B/L」と、デジタル通貨や暗号資産を同時交換させ、海外貿易取引における債務不履行のリスクを低下させた。貨物の代わりとして電子B/Lとデジタル通貨を同時に交換する仕組みは世界初という。
近年、日本国内でも「電子B/L」を認めるよう、関係法改正を求める動きがあり、海外においても同様の動きがあるという。また、デジタル通貨についても国際的な実用に関する議論があるといい、中国やカンボジアなどを中心にCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実用化に向けた動きが活発化している背景もある。
貿易取引において、電子B/Lとデジタル通貨の取引が普及した場合、国際売買のリスクの除去のほか、リスクヘッジに掛かる費用がなくなることによる輸出入者の貿易コスト低減、従来の貿易取引方法では参入が難しかった中小企業の貿易取引の活発化、貿易の平易化などの効果が期待されるという。
4社は今回の実証実験の結果を踏まえ、2023年度中の事業化に向けて引き続き取り組むとしている。
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