佐川急便は、オープンイノベーションで新規ビジネス創出を目指すアクセラレータープログラム「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM『HIKYAKU LABO』」を、2020年9月から展開している。
11月11日には、成果発表の場である「デモデイ」を開催。第二期の採択企業となる4社と佐川急便の専任開発担当による事業案のプレゼンテーションや、採択したスタートアップ企業の表彰などを実施した。
HIKYAKU LABOは、「新しい物流サービスの創出」「社会インフラとしての物流機能の安定供給」「新たな生活スタイルを物流の力でもっと安心・便利に」という三つのテーマにフォーカス。ともに事業を作り上げるスタートアップ企業の選定、実証実験や効果検証を重ねている。
2020年9月~2021年3月に実施した第一期では、約100件の事業案がエントリー。採択した5件の企業などと実証実験などを重ねたという。
3月9日には第一期のデモデイを開催し、最優秀賞にスマートバーコードで事業者間のサプライチェーン連携を提案したLOZIを選出。現在も各社と事業化に向けた検討を継続を続けている。
4月に開始した第二期では、85件の事業案がエントリー。書類、動画、プレゼンなどの選考を経て、4件が採択となった。
具体的には、屋内物流に広告宣伝、見回りといった価値を付加できるロボット活用を提案するugo、配車アルゴリズムを活用した最適な車両台数と走行ルートの構築を提案するSWAT Mobility Japan、ドライバーの危険行動検出にAIを活用し、手動で実施していた検出作業時間の短縮を目指すフツパー、関連書類の電子化などができる貿易プラットフォームの国際物流への活用を目指すトレードワルツの4件4社を選定。
いずれも佐川急便社内で公募した約40人から選出した5人の専任開発担当とともに、事業案をブラッシュアップ。9月から10月にかけて二人三脚で実証実験や効果検証を重ねたという。
第二期デモデイでは、最優秀賞にトレードワルツを選出。記念トロフィーと賞金100万円が贈られた。
佐川急便 経営企画部長を勤める橋爪賢三氏は、選考の理由として「佐川急便の顧客へ物流を含めた貿易のお手伝いができる」と、想定できる協業効果を説明。オンライン活用の普及と促進に伴い海外とのやりとりが増えているが、ビジネスとして新たに“貿易”を始めるとなると、書類を初めとした多くの課題があると指摘した。
「貿易を開始するためには、特に中小企業などにとって高いハードルがあるが、トレードワルツの仕組みでデジタル化、簡潔化できる」(橋爪氏)。佐川急便が顧客とする多くの中小企業に対し、物流を含めた貿易業務全体をサービスとして提供できる可能性を感じていると語った。
同日には、ugoへ優秀賞と賞金50万円、SWAT Mobility JapanへHIKYAKU LABO賞と賞金20万円、フツパーへ審査員特別賞と賞金10万円も贈られた。いずれの企業とも社会課題をともに解決すべく、引き続き協業の可能性を模索していく。
また、HIKYAKU LABOの取り組み自体も継続する。次回の募集ではさまざまな課題へよりタイムリーに対応すべく、開催期間を通年へ変更する方向で検討しているという。
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