アップルの一部株主、公民権監査を要求へ--従業員からの告発を受け

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 長谷睦 (ガリレオ)2021年12月23日 12時00分

 Appleが一部の従業員からネット上で批判を受けていることを受けて、2022年の株主総会ではとある株主提案が採決されることになりそうだ。この提案は、同社でハラスメントや職権乱用の被害を受けた従業員がその詳細を語ったことを受けて、一部株主から提起されているもので、公民権監査の実施を求めるという内容だ。また、2人の元従業員からの告発状について全米労働関係委員会(NLRB)が調査を開始したことも、この提案のきっかけとなった。

Apple本社
Apple本社
提供:Apple

 MarketWatchがいち早く報じたこの株主提案は、Appleの従業員構成に目を向けるよう求めている。Appleの公表データによれば、同社の従業員では白人が47%を、男性が66%を占めている。株主らはMarketWatchの取材に対し、Appleが人種的公平の実現を支援すると公約しているにもかかわらず、同社自体の従業員の多様化は遅々として進んでいないと述べている。

 MarketWatchが報じたこの株主提案には「Appleが自社の従業員構成に存在する人種的不平等に対処するためにどのような計画を持っているのかはっきりしない」と書かれている。また、「Appleの経営陣には、いまのところヒスパニック系の人物はおらず、黒人も1人しかいない」との指摘もある。

 この提案は、2021年に入ってAppleの株式を2200万株保有していると報告したSOC Investment Groupが、こちらも同社の株式を100万株以上保有していると報告したTrillium Asset Managementと共同で作成したものだ。また、国際サービス従業員労働組合(SEIU)も作成に関与したという。この提案は2022年の株主総会で採決される見通しだ。なお2021年の株主総会は2月に開催されている。

 今回の動きは、Appleの企業文化に厳しい視線が注がれる中で、この問題への注目をさらに集めようとする、公の場でのさまざまな活動の最新の事例だ。従業員らは、Appleが社内のいくつかの部署で敵対的な職場環境が生まれるのを許したとして、同社を公然と非難している。また、超秘密主義の職場文化がこうした問題に関する発言を人々に思いとどまらせ、その結果、間接的にこの問題の深刻化を招いていると指摘している。

 もっとも、この種の問題に直面しているのはAppleだけではない。Amazon、Google、Meta、Microsoft、それにPinterestでも、現職、あるいはかつての従業員が懸念の声を上げ、職場での嫌がらせなどさまざまな問題を告発している。

 Appleに関して注目されるのは、同社の場合は従業員が公然と会社を非難することが極めて異例だという点だ。2021年9月には、従業員のグループが最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏と経営陣に公開書簡を送付し、16万人にのぼる同社の従業員の処遇を改善し、「インクルージョン(包摂性)、ダイバーシティー(多様性)、公平性に関する約束を果たす」よう求めた。

 従業員らは公開書簡の中で、個人情報のプライバシーの強化、透明で公正な給与、すべてのサードパーティー関係の監査、経営陣と人事チーム全体の説明責任の強化、グループの懸念を共有するためのプロセスなど、複数の要求事項について詳しく説明。また、Appleにおける「人種差別、不公平な扱い、職権乱用、ハラスメント、一斉の抑圧と報復」に関するすべての報告について再調査することも求めていた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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