The Walt Disney Companyが誇る魔法も、米国時間12月7日に発生したAmazon Web Services(AWS)の大規模な障害から「Disneyland」アプリを救うことはできず、テーマパークを訪れたゲストたちの1日は一時的にせよ台無しになった。しかし、「地球上で一番ハッピーな場所」のファンにとって、これは新たな問題の1つにすぎない。
Disneyはテーマパークのゲストに、食べ物の注文から、チケットへのアクセス、アトラクションの予約に至るまで、あらゆることをモバイル端末で行うよう促している。「FastPass」システムの新たな有料版(現在は「Genie+」)もアプリに組み込んでいる。つまり、先ごろWalt Disney Worldに影響したような障害が再び起これば、このテーマパークでの楽しい時間は突如終わってしまいかねないということだ。
今回の障害は、極めて忠実なファン層を誇るDisneyのような企業が、テクノロジーの導入で直面するリスクを浮き彫りにしている。入園料の値上げや、一部のアトラクションに追加料金を課すGenie+のシステムに不満を訴えるファンもいる中、このような問題は、Disneyの熱心なファンが不満を覚える新たな要素となっている。
The Duckbill GroupのチーフクラウドエコノミストでAWSに詳しいCorey Quinn氏は、こうした障害はDisneyとAmazonに、AWSが「コンピューター関連」にとどまらず、現実世界と日常生活にいかに大きな影響を与えるかを痛感させるものでもあると指摘する。
Quinn氏はあるインタビューで、サービスのモバイル化とAWS依存が高まるなか、「(この障害は)強烈な警鐘であり、もしかすると過去になかった形の問題かもしれない」と述べていた。
AWS関連というわけではないが、Disneyの有料サービスであるGenie+は、提供開始からまだ日が浅いのに、すでにトラブルが続いている。カリフォルニア州アナハイムにあるDisneylandでGenie+のサービスが提供開始された12月8日、問題が発生し、午後遅くまで利用できないままだった。これと似た障害は、10月19日のWalt Disney Worldでの提供開始時にも起きた。ファンたちはそれ以来、Genie+で乗り物の待ち時間が正確に表示されないことや、アプリから予約が消える問題についても、不満の声を上げている。
このようにGenie+の開始初期でトラブルが続いていることは、同サービスを利用するのにDisneylandのゲストが1人あたり1日20ドル(Disney Worldでは15ドル)を支払う必要があることを考慮すれば、受け入れがたいものだ。パンデミックによってDisneyの各テーマパークが閉鎖される前、同サービスの前身である「FastPass」は無料だった。
あるファンは、レビューサイト「Disney Food Blog」に次のように書き込んだ。「これらのアドオンをすべて購入する余裕はないし、余裕があったとしても、無料だったものにお金を出したいとは思わない。(Disneyを率いる)Bob Chapek氏はエリート主義者で、Disney Worldを金持ちだけのものにしている。彼は、家族全員が楽しめるテーマパークというWalt Disney氏の理念をごみ箱に捨ててしまった。こんな小銭稼ぎが続くなんて馬鹿げている」
こうした「小銭稼ぎ」の傾向はChapek氏の下でますます強まっているとみられ、それが一因となって、2020年2月にDisneyの最高経営責任者(CEO)に就任した同氏の解任を求める署名キャンペーンにつながった。このキャンペーンには8万人以上が賛同している。
さらに、いわゆる「Magic Key」を持つ年間パスポート所有者の入場制限も行われた。この制限は、ブロックアウト(通常の年間パスポートを持っていても入場できない日)を設けない最上位の年間パス「Dream Key」(1399ドル:約16万円)を購入した人たちまで対象となり、それが500万ドル(約5億7000万円)規模の訴訟につながったことが16日に明らかになった。
Disneyやそのファンにとって、魔法のような時間ばかりではないようだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス