シリコンバレー発のIoTソリューションサービスを提供するMODEは12月10日、「IoTエコシステムを活用したデジタルツイン環境の構築」が「JR東日本スタートアッププログラム2021」の協業企業として採択されたと発表した。
さまざまなセンサーなどからデータを取得、活用できる「建設DXプラットフォーム」を開発し、鉄道現場の“デジタルツイン”化と、鉄道建設工事の安全性向上、生産性向上などを目指す。なお、現在はJR浜松町駅の夜間改良工事において、全体把握が困難な夜間工事をデジタルツイン化する実証実験を実施しているという。
MODEは、現在の建設業全般には、人口減少による仕事の担い手不足や技術者不足の顕在化、稼働している機械設備などの老朽化とそのメンテナンス、また強靭化にかかる工事頻度の増大化などの課題があると指摘。
加えて、工事などの作業現場における全体の作業進捗やトラブル発生時の精密な把握などの困難さ、保安要員の確保や保安状況の管理コストの増加、地球温暖化の影響による工事関係者の熱中症リスクの増大などの課題もあるという。
これらの解決のためには、安全性を確保しつつ管理コストを下げる必要がある。作業管理を改善しなければ現場が破綻し、事故事象につながるという危機的状況にあると説明している。
こうした背景のもと、今回の採択を契機に工事現場のデータを収集し、その計測、分析データから課題を見つけ解決に取り組む建設DXプラットフォームを開発する。個別のシステム構築ではなく、さまざまなセンサーデータを一つのプラットフォームで統合的に可視化。また、現実世界の地形などをそのままサイバー空間で再現するデジタルツインを構築するという。
改善前のデータと現場の作業パフォーマンスを計測し、変化を比較、分析する効果測定も実施する。さまざまなデジタル導入で現場業務をアップデートし、新たな改善点に取り組むという持続的なPDCAサイクルを目指すとしている。
JR東日本スタートアッププログラムは、東日本旅客鉄道(JR東日本)とJR東日本スタートアップが主催する、ビジネス創造活動。ベンチャー企業などから、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネスサービスの提案を募り、ブラッシュアップしながら実現を目指すものだ。
JR東日本スタートアッププログラム2021は第5回目で、「地域共創」「デジタル共創」「地球共創(SDGs)」の三つをテーマとしている。合計154件の応募があり、採択数は13件。MODEが提案したIoTエコシステムを活用したデジタルツイン環境の構築は、デジタル共創分野の協業事業としての採択となった。
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