Twitterのビジネスの課題には、同社ではどうすることもできない問題も含まれる。Appleが同社のモバイルOS「iOS」のプライバシーを改善するために導入した変更により、広告主がマーケティングキャンペーンの効果を測定することが難しくなった。この変更は、Twitterを含むソーシャルメディア企業の収益に影響を与えている。Twitterは、Appleの変更が、事業にどの程度マイナスの影響を及ぼしたのかは詳しく明かしていないが、2021年第3四半期の売上高に「若干の」影響があったことを認めている。
その一方で、Twitterは、先頃社名をMetaに変更したFacebookやGoogle、TikTok、Snapchatといったテクノロジー企業との厳しい競争にも引き続き直面している。
「世界の人々は今、これまで以上にわれわれに注目している」。Agrawal氏は、11月29日にツイートした、Twitter従業員に向けたメモの中で、そう述べている。
ビジネス以外の面では、Twitterや他のソーシャルネットワークは、議員や権利擁護団体からの批判に対処している。
Dorsey氏は3月、FacebookのCEOのMark Zuckerberg氏、GoogleのCEOのSundar Pichai氏とともに、誤情報、テクノロジー依存、テクノロジー企業が子供のスクリーンタイムに与える影響に関する議会公聴会に出席した。雰囲気は険悪で、CEOたちが質問にイエスかノーで答えるのを避けたので、議員たちは何度も彼らの発言を遮った。
1月6日の米連邦議会襲撃事件を受けて、当時大統領だったDonald Trump氏の発言が暴力を扇動するかもしれないとの懸念から、Twitterは大統領の任期終了間近のTrump氏をブロックする決定を下した。このことをめぐって、Twitterは保守派の言論を検閲していると批判されたが、Dorsey氏はそれに反論した。同氏は、TwitterがJoe Biden大統領の息子であるHunter Biden氏に関するNew York Postの2020年10月の記事をブロックしたことについても質問を受け、Twitterの同記事への対応が「完全な過ち」だったことを認めた。
Facebookの元製品マネージャーであるFrances Haugen氏が内部告発を行い、多数の社内文書を議会と米証券取引委員会(SEC)にリークしたことを受けて、2021年秋、ソーシャルメディア企業に対する監視の目が一気に厳しくなった。これらの文書のリークによって、ソーシャルメディアが社会に及ぼす影響について、改めて注目が集まり、議会の公聴会も開かれた。
議員たちは、子供の安全に関する公聴会を何度も開いており、FacebookやSnapchat、Google傘下のYouTube、TikTokも出席している。InstagramのCEOのAdam Mosseri氏は、12月6日の週に初めて議会で証言する予定だ。
Twitterへの入社前にAT&T LabsやMicrosoft、Yahooで勤務した経験を持つAgrawal氏は、CEOに就任したことで、今後証言を求められた場合、Twitterを代表して自身が証言をしなければならないという新たな悩みが増える。そうなれば、同社が新しい分散型のテクノロジーによってヘイトスピーチや誤情報に対処することを目指す「Bluesky」プロジェクトに集中できなくなる。
Forresterのバイスプレジデント兼リサーチディレクターのMike Proulx氏は、声明で次のように述べている。「メンタルヘルスや誤情報の問題によって、ソーシャルメディアに対する一般の人々の監視の目がますます厳しくなっている中で、Parag(Agrawal氏)は、製品やプラットフォームの設計から方針決定へと焦点を移さなければいけなくなるだろう」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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