DNPら、乗降区間に伴う料金変動に対応したキャッシュレス決済の実証実験--NFCタグ活用

 大日本印刷(DNP)は11月17日、肥後銀行、肥銀カード、九州産交バスと共同で、地方バス向けキャッシュレス決済システムの実証実験を実施すると発表した。

 DNPが新たに開発した、NFCタグとスマートフォンで決済できるシステムを活用。2022年2月下旬から九州産交バスの路線で、関係者による実証実験を実施する。

実験イメージ
実験イメージ

 DNPが新たに開発したシステムは、予め発行する薄い小型の紙やシール形状のNFCタグを活用する。

 乗降車の情報をスマートフォンのタッチで蓄積できるため、NFCタグをバスの料金ボックスや店舗、施設へ貼付、配置すれば、決済端末などの特別な機器不要でキャッシュレス決済サービスが導入できる。

 クラウドサーバーの決済は、利用者のスマートフォンがオンラインになったタイミングで完了する。NFCタグを読み取る乗降車時の通信環境に左右されず、山間部といった電波の届きにくい場所でも利用できるという。

 ロケーションシステムなどの位置情報と組み合わせて乗降車区間を識別でき、乗降区間で料金が変わる地方バスにも対応可能だ。

 これにより、地方バスの運営会社は低コストでキャッシュレス決済へ対応でき、経営効率の改善が見込める。また、同じNFCタグを地域に密着した店舗などに設置すれば、地方や地域全体のキャッシュレス化を見込める。スマートシティやMaaS(Mobility as a Service:移動手段のサービス化)領域にも活用できるという。

決済システムのイメージ
決済システムのイメージ

 今回の実証実験は、資金を地域内で循環させて生まれるデータを活用し、持続可能な地域づくりへの貢献を目指す、熊本地域振興ICカード「くまモンのICカード」のモバイル化事業の一貫という位置づけ。

 くまモンのICカードの決済基盤を“スマートシティにおける決済の中心インフラ”として位置づけて提供している肥後銀行グループでは、「決済データ」をベースとした地域の高精度な人流データの生成で、地域循環型エコシステムの構築を目指すという。

 また、九州産交バスは、今回の実証実験で得た知見を生かし、日常生活を支える移動手段としてのバスサービスの維持、拡充を目指すとしている。

 DNPは、今回の仕組みを地方や地域でバスを運営、もしくは支援する企業や団体に向けて提供する。地方や地域におけるスマートフォンを使ったキャッシュレス決済の普及を支援し、社会課題の解決に貢献していく。

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